学校・チーム

【都立城東】オフの走り込みナシ!選手が練習メニューを決める新たなスタイル

2020.3.18

辛い練習のイメージを覆すオフトレーニング



昨年末のクリスマスも選手たちの意向で休みにした。取材当日もハードな練習や、走り込みは全くなかった。

「オフ=走り込みやハードな練習する。そういった考えが野球界にはあると思います。僕自身も現役時代は行っていたし、指導者になりたての頃はそういった練習を課していました。でも、走り込みでは野球に最も必要な瞬発力は鍛えられないと科学的にも証明されています。過度な走り込みで怪我をする選手も沢山見てきました。走り込みはみんな辛くて嫌でしょう。それなら『やらなくてもいいか』と思うようなったんです」

オフは陸上部と揶揄されるほどに走りこむのが高校野球。そういった固定概念をなくしたいと内田監督は言う。

「うちは部員数が多いですが、他の高校はそうではありません。野球人口減少の要因に野球へのマイナスなイメージがあるかもしれません。ボールを使わないハードなトレーニングが嫌で高校野球に進まない子どもだっているかもしれないし、厳しい指導が嫌で野球を始めない子どももいるでしょう。そういったイメージをなくしたい思いはありますね」

チームのテーマである身体づくりも年間を通して行うため、オフだからといってウエイトやプロテインを導入しているわけではない。取材当日のメニューも季節関係なく行っているものだった。ただ、それこそが都立城東の個性的なオフなのかもしれない。

一勝の積み重ねの先に未開の地



今夏は東京オリンピックが開催されることもあり、東東京で使用される球場は限られ、西東京の球場で試合を行うなどイレギュラーな部分もあるが、かえってチームにプラスに働くかもしれない。

「見ての通りグラウンドが狭いですから、Aチームの週末は毎週遠征をしています。ですので、移動をすることには他チームより慣れているかと思います。周りの評価は気にせず、目指すは『一勝』。とにかく『一勝』したいと思っています」

一つ勝つことの難しさは昨年痛いほど経験している。先のことは考えず目の前の一勝を手にするために全力を尽くすと意気込む。

夏の大会は準決勝以降高校野球としては初となる東京ドームでの試合(神宮球場が使用不可のため)が予定されている。選手や監督、応援する側もいつもとは違う景色が見られるチャンスだ。

「行ってみたいな」

インタビュー終わりにポロッと出た内田監督の本音なのかもしれない。未開の地の先にある選手が目標に定めた甲子園。選手たちが考え、自主的に動き出した“都立の星”の活躍に期待したい。(取材・文・写真:細川良介)

 

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