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【都立城東】甲子園に2度出場した都立の星が再び目指す「東京の頂」(後編)

2019.7.9

1999年夏に創部初の甲子園出場、2001年夏に都立高校として初となる2度目の甲子園出場を果たした都立城東。昨秋の東京都大会でも都立として唯一ベスト8入りを果たすなどその存在感は際立つ。チームの指揮を執るのは内田稔監督。現役時代、2度の甲子園を経験し、2016年に母校に帰ってきた。自身の後輩であり、教え子でもある部員に何を伝え、どのようにして母校を18年ぶりに甲子園へと導こうとしているのか話を伺った。


OBが率先して訪れる愛のあるグラウンド

前編で書いた通り、都立城東(以下、城東)のグラウンドはサッカー、陸上、ソフトボールなど他部活と共有であり、日によってグラウンド割が決められている。取材当日はごくごく普通の平日練習だったが、実は夏の大会メンバー発表の前日ということを内田監督に取材後に聞かされた。

15時5分に授業を終え、ホームルームを済ますと3学年で100人を超す野球部員がグラウンドに集結する。整備を終え、そそくさとアップを行い16時から本格的な練習メニューに入る。

「城東は普通科しかないので、授業が終わる時間は3学年でだいたい同じです。でも、だからといって全員が揃って声を出しながらアップを行うことはめったにありません。19時までに完全下校というルールがあるので、平日の練習は整備時間を除くと2時間~2時間半くらい。アップやキャッチボールはグラウンドに来た人から素早く行っていかないと時間が勿体ないです」

そう教えてくれたのは、野球部のOBであり、現在母校へ教育実習中の木曽大賀さん(国士舘大4年)。木曽さんは大学1年の時から野球部の手伝いを自主的に行っている。内田監督は「一度きりしかない大学生活を楽しみなさいと言っているのですが(笑)。後輩たちのことを思ってくれる優しいOBです」と信頼を口にする。他にも教育実習できたOBが1人、後輩たちに愛のあるノックを打っていた。内田監督を含めると普段練習を見る指導者が3人。それに加え手伝いをしてくれるOBがいるのだから、狭いグラウンドでも有意義な練習が行えるはずだ。



オープンな練習と、クローズな練習の使い分けが重要

100名以上の部員が揃ってグラウンドで練習を行うことは全面を使える時以外、現実的に不可能だといっていい。城東ではポジションに分かれた練習が定番化されている。16時からグラウンドで行われたのは内野手のケースノック練習。判断ミスや、エラーをするとチームメイトから厳しい声が飛び交う。

「うちの練習はオープンとクローズがはっきりしています。ケースノックのような連携が大事な練習では、自分の思った言葉をみんなで言い合えと指導しています。でも、ティーバッティングの練習で声を荒げる必要はありませんよね。そこは個人の技量を伸ばす時間なのだから逆に心を閉じて練習をする必要があると私は考えています」と内田監督は話す。

ケースノックを行うと決めたのは監督ではなく選手たち自身だという。選手たちが「何が今足りないのか」と考え、それを実行に移すことが肝心だと内田監督は言う。やりたい練習が好きなだけ行える環境ではない。時間もスペースも決められているからこそ、練習の意義を感じる必要がある。

ウエイトルームも他部活と共有なため、9人1組でしか行くことはできない。ケースノックをしない他グラウンドと校舎の間のスペースで体幹トレーニングへ移動したり、ソフトボール部が練習を終えるとロープやハンマーなどのトレーニングを行っていた。散り散りになり、練習に励んでいるが、チームメイト全員が同じ方向を向いているように感じた。


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