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彼らが速いボールを投げられる理由(2019夏)|奥川恭伸(星稜)

2019.9.18

球速アップ講座でおなじみの相原雅也さん(元四国アイランドリーグ高知、かずさマジック・現ホグレル硬式野球部監督)。そんな相原さんが注目の高校生投手が「なぜ速いボールを投げることができるのか?」解説する恒例企画。今回はこの夏の甲子園で大活躍を見せた奥川恭伸投手。春の選抜大会でも解説していただきましたが、そこからどんな成長が見られるのか? お話をうかがいました。


気になる変化球を投げる時の「左手を引く動き」

――夏の甲子園で大活躍だった奥川投手ですが、選抜の時と比べてどうご覧になりましたか?

「春は左足が着地してから左手を引く動きが少し早いように見えましたが、夏はストレートを投げる時はそれが改善していたように思います。特に初戦や準決勝の時は上手く力を抜きながら投げてもスピードが出て、コントロールも安定していましたし、その点は良かったですね」


――「ストレートを投げる時は」ということは、変化球の投げ方にはまだ課題がありますか?

「見ていると変化球の時は明らかに左手を引く動きが早くて、ストレートの時と違うんですよね」


――なるほど。改めて動画を見てみると確かにそう見えますね。

「奥川くんの中で何かしら変化球を投げる時に意識の変化があるのかもしれませんね」


――左手を引く動きが早くなるとどんな問題がありますか?

「春の時にも言いましたけど、(そうすることによって)スライダーの変化するポイントが(打者から見て)早くなっているように思います。高校生レベルでは振ってくれてもプロでは見極められる可能性が高いと思いますね」



まだまだ良くなる!

――そんな奥川選手にアドバイスするとすればどんなことを言いたいですか?

「『ストレートの感覚でスライダーを投げてみて』と言ってどうなるか見てみたいですね。そうすることで最初は上手く曲がらないかもしれないですけど、ストレートと同じ動きで投げられるようになればもっと打者の近くで変化するようになると思います」


――他には何かありますか?

「春の時に下半身の硬さがあるのではという話をしましたけど、投げる時に下半身の意識を変えるのはなかなか難しいんですよ。ただ左手の使い方を意識することで下半身の使い方も変わってきます。そんな意識ができてくればまだまだ良くなると思いますね」

なるほど。今回も非常に分かりやすい解説、ありがとうございました!

(取材:西尾典文/写真:編集部)

ホグレルとは?

ホグレル株式会社が提供する力を抜いた状態でマシンの軌道に従って主に肩甲骨や股関節・骨盤周辺を動かすことを目的としたマシン。今年の夏の甲子園では以下の8校が導入するなど、野球界でも広く使われている。

茨城代表  霞ヶ浦高校(4年ぶり2回目)
栃木代表  作新学院高校(9年連続15回目)
東東京代表 関東第一高校(3年ぶり8回目)
静岡代表  静岡高校(4年ぶり25回目)
岐阜代表  中京学院大学中京高校(3年ぶり7回目)
大阪代表  履正社高校(3年ぶり4回目)
島根代表  石見智翠館高校(4年ぶり10回目)
徳島代表  鳴門高校(2年連続13回目)

2016年11月にホグレル硬式野球部が発足。今年2月にはクラブチームとして社会人野球の東京都連盟に加盟し、この9月からは公式戦にも出場予定。相原さんは同チームの監督を務めている。

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