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【明大中野八王子】伝統の「粘り強さ」育む土台作り

2017.9.4

お話を伺った明大中野八王子高校野球部の椙原貴文監督

夏の全国高校野球選手権でベスト4に進出した東海大菅生、日本中にその名を轟かせた清宮幸太郎を擁する早稲田実業、昨年の王者八王子など、強豪ひしめく西東京。その中で八王子と準々決勝で熱戦を繰り広げたのが明大中野八王子。先輩たちを超えるべく始動した新チームが練習するグラウンドに潜入した。


伝統の「粘り強さ」育む土台作り

身体も心も成長した3年生が残した財産

明大中野八王子は学校法人中野学園が運営する、明治大学の系属校。偏差値は全国でもトップレベルであり、土曜日は毎週午前中に授業がある。その中でも野球部は2000年、そして2005年に西東京大会で決勝の舞台に進出した実績を持つ。00年に投手としてマウンドに立ったのが、現在指揮を執る椙原貴文監督。選手たちと真摯に向き合い、本音で語る熱血漢だ。

部員にノックを打つ椙原貴文監督

「八王子実践さんも、駒大高さんも力のあるチームでしたし、勝ったにしても内心はヒヤヒヤでした。先制しても中盤、終盤に『いつ逆転されるのだろう……』と不安で一杯でしたね。八王子さんとの準々決勝では朝からの雨でグラウンドのコンディショニングも悪く、待機の時間も長かった。それでも先制されたけれど、すぐさま追いつき、試合は落ち着きました。中盤は逆転したのですが、7回に相手を呼び起こしてしまいましたね。西東京はベスト8まで行くのが大変で、そこまでに力を使い果たしてしまうのがやはり強豪校との差ですかね」。と夏の大会を椙原監督は振り返る。

「夜はナイターでプロ野球の試合があったので、負けてしまった選手たちには非常に酷ですが、ロッカーで悲しむ時間はなかった。でもそこで3年生が『最後までしっかりやりきろうぜ』と、泣きたいのを堪え、積極的に後片付けをする姿を見て、私も『あぁ、このチームは本当に良いチームだったんだな』と思い、涙があふれ出てしまいましたね」。

きちんと整理され並べられたシューズ

自分たちを見つめ直す時間

新チームの主軸となる現2年生はどうなのか。夏の大会ではスタメンに4人の名が連ねたことを考えれば能力は高いといえるだろう。だが、夏の大会後は連日降り続いた雨の影響もあってか、練習を満足にはできていない。また、早急に克服しなければいけない改善点はグラウンドの“外”にあった。

明八ナインは『食トレ』にも力を入れている。精密な機械で個々の体重や体脂肪、筋肉量を計測し、栄養バランスを考え、強豪校に負けない身体を作るため、1日のご飯の量が決められている。だが、体重の数値に、表記ミスが出てしまった。

グラウンド内で礼をする部員たち

「野球をやる前の、心構えというか精神面でまだ土台ができていないと感じました。このままで新チームを始動していいのかと思いました。選手たちに考える時間を与え、彼らは
長い時間ミーティングをし、意志の統一をしたようですね。なので、その間私はひたすら甲子園をテレビで観戦していましたよ(笑)。

甲子園は全員が本気になって目指さなければ行けるわけがない。野球と言うのは勝つためなら自分だけではなく、外のことにも目を配り、指摘しなければいけないスポーツ。良い子では勝てないし、怠慢というのは許されません」。

揺るがない土台があるからこそ技術や体力というのは開花する。選手たちの意識を見直すことに関して、時間を惜しまないのが明八流である。

目指すのは明八の伝統「粘り強い」チーム

国士館であれば走塁、日大三なら打力、八王子なら小技など、西東京の強豪のチームにはそれぞれ“色”というものがある。椙原監督も「やはり色があるチームは対戦する上で怖いです。即ち何かに徹底することができるからですね。明八の色は粘り強さ。これは先代の監督であり、私の恩師の石田高志さんの頃から変わっていません」と語る。

例え能力や体力の部分で相手に劣っていても粘り強さを持って戦えば勝機は見えてくる。だが、粘り強さというのは我慢をしなければ生み出せない。だからこそ監督は選手たちにグラウンドだけではなく、私生活においても我慢することの大切さを口酸っぱく説いているのだ。

明大中野八王子野球部が定める徹底事項

「秋の目標は優勝と言いたいところですが、現段階で先は見えません。十分に練習も出来ていませんし、まだまだこれから時間はかかります。ですが、名のある学校と真っ向から勝負することで今の実力を確認できます。粘り強い明八の伝統を受け継げるチームを目指し、選手たちには日々の生活や練習に励んで欲しいですね」。

近距離からのノックを受ける部員たち

新チームは順風満帆なスタートとはならなかったが、一歩一歩チームが成長していければ、きっとその先には尊敬する先輩たちが経験させてくれた神宮のグラウンドがあるはずだ。(取材・撮影:児島由亮)


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