学校・チーム

【岡山城東】20分間5種類のメニュー、集中して行う毎日の練習

2017.9.8

監督の話を聞く岡山城東野球部の部員達

「文武両道」を実践する、偏差値65以上の高校6校をタイムリー編集部が密着取材した『甲子園を目指せ!進学校野球部の勝利への方程式』(辰巳出版)が発売!

取材した高校の中から、今回は岡山県立岡山城東高校の一部を紹介します。

”取材した6校の野球部には共通点があった。それは「人を育てる」教育をしているということ。「勉強」も「野球」も手を抜かないのは、そこに勝利の方程式があるから”(本書より)


目標設定、実行、見直し、改善。短時間練習の中で意識を徹底

『甲子園を目指せ!進学校野球部の勝利への方程式』|岡山城東高校編

[ 掲載内容 ]
「岡山県内全域から『本物』のエリートが集まる」
「全国の注目を浴びるキッカケになった甲子園サヨナラ勝ち」
「岡山城東高校野球部のPDCAサイクル」
「無駄のない無理のないタイムマネジメント」
「切磋琢磨する『声』。夏までのラストスパート」
「『優勝』という高い壁への妥協なき挑戦」

「無駄のない無理のないタイムマネジメント」より

バッティング練習を行う岡山城東野球部の部員達

生徒たちと話をしていて感じた特徴が、タイムマネジメントのうまさだ。これも企業によっては残業時間を減らすために口を酸っぱく言われることの一つではないだろうか。限られた時間の中でいかに効率的に物事を進めるか、その能力がすでに部員たちには無意識に根付いている。

私立高校によくある「野球部のみの特別カリキュラム」もないため、一緒に朝8時半から16時頃まで授業やホームルームがある。その後、16時20分から最終下校時刻の18時までの約一時間半に集中的に練習する。浦上監督に短い限られた時間をどのように創意工夫し指導しているのか聞くと「人間の集中力を維持し続けるには20分がちょうどいいと聞いたことがあるんです。だから、一つのメニューを短く区切って密度を上げる。次のメニューの準備中に少し休憩になって。そうすると練習時間が1時間40分あるとすれば五種類の練習メニューができるでしょ。五種類って結構できますもんね」と答えた。次のメニューの準備中に休憩ができるといっても、全力疾走で無駄なくできるだけ早く準備を行うので、休憩という言葉からイメージされるような休憩はとっていない。体の休憩ではなく、脳の休憩をとっているのだ。たったの1時間40分を五種類の練習メニューに区切って最大限の集中力を注ぎ込んでいる。

何人かの生徒に普段の一日の生活のタイムスケジュールを聞いてみた。

ショートを守る鈴木塁偉(三年)と同じショートのレギュラー争いをしている若宮吹風(三年)は、共に野球部内の学力2トップだ。二人は同じ守備位置でレギュラー争いをしながら、野球部内での学力一位の座も奪い合っているのだが、それぞれに無理のない無駄のないタイムマネジメント方法を見出していた。

鈴木は岡山市南区に自宅があり、比較的通学に時間がかかる。朝の電車の乗り換え時間の関係もあり、毎朝6時半には学校に到着している。学校に着くまでの電車の中でも参考書を広げ、部活を終えると19時半頃に帰宅し、30分から一時間ほど父親に見てもらいながら自主練習をする。その後は21時頃には眠る。中学の時はクラブチームに所属しており、その頃から文武両道。クラブチームの監督も岡山城東高校のように、中学卒業後の先を見据えた進路指導を行ってくれる監督だったそうだ。岡山城東高校入学を決めたのもこの監督の勧めで決めた。中学から長きにわたり毎日勉強をするうちに、自分は朝方だということに気がつき、深夜の3時頃に起床し勉強を始めるようになった。その時間が自分の中で勉強するのにベストコンディションだと話す。

一方、若宮も早朝練習へ参加するため早起きだが、自宅が学校の近くのため出発するのは6時40分頃。19時半から20時くらいに自宅に帰宅し、自分の部屋にこもり勉強している。あまり自分を追いこんだりガツガツギラギラと勉強するのは苦手なようで、適度にテレビを見たりまったりする時間の確保もしている。ただ、表情も話し方も非常に穏やかに見えるが、かなりの負けず嫌いでもあるようだ。中学の時の定期試験では100点をとることが当たり前だったので100点以外の教科があればとても悔しくて勉強したそうだ。岡山城東高校へ入学して以降も、分からない問題は先生には質問せず、解答を見て自分が納得するまでじっくりと考える。手当たり次第に勉強するというよりは、自分の苦手分野を分析しそこを補う時間を確保している。

双方ともに、同じ守備位置であり同じく秀才だが、それぞれに自分に適した無理のない無駄のないタイムマネジメントを行っている。(文&写真:喜岡桜)

続きは本書よりお読みください


●公立の進学校が、本気で甲子園を目指す!

今年の夏の甲子園も様々な話題で盛り上がりましたが、その中のひとつとして、公立校の出場が過去最少となったということがあります。
その中で進学校となると、さらに少なくなってきてしまうのが現状です。
しかし、「文武両道」を掲げ、本気で甲子園出場を目指す公立校が全国には多く存在しているのもまた事実なのです。

●選手たちはいかにして「文武両道」を実践しているのか?

本書では、そんな公立進学校6校の「甲子園出場」という大きな目標に向けた取り組みを紹介していきます。
いかにして選手たちは、学業と部活を両立させているのか? 少ない時間の中で、どのような練習を行っているのか?
そういった疑問に対する答えだけでなく、本書は選手たちの挫折と喜び、指導者たちの思い、そして未来への夢が詰まった一冊になっています。

●公立進学校の監督&選手たちの6つの軌跡を収録!

【掲載高校】
◎県立宇都宮高校(栃木)/勉強にも野球にも本気で打ち込めるか。将来のリーダー育成を掲げる伝統校の真実。
◎県立丸亀高校(香川)/甲子園を目指せる高校として成功体験を心に刻み集中する。
◎県立岡山城東高校(岡山)/目標設定、実行、見直し、改善。短時間練習の中で意識を徹底。
◎県立新潟高校(新潟)/優等生たちの意識を大きく変えたスパルタ“鬼"監督の情熱野球。
◎府立四條畷高校(大阪)/人間教育で技術を向上させる。激戦区を勝ち抜くための指導とは。
◎県立川和高校(神奈川)/髪型自由、SNS自由。スマホも取り入れる自主自立の練習法。

【編者プロフィール】

タイムリー編集部
2009年7月に創刊し発行を続ける、全国約4000校の高校野球部へ直接配布するフリーマガジン「Timely!」。株式会社SEA Globalが発行元となり、隔月年間5回の頻度であらゆる高校野球部を始め、現場を徹底的に取材した記事を掲載している。
また、誌面以外にもWEBサイト「Timely! WEB」にて、高校野球を中心とした記事も配信している。



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