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【大分商業】5年間甲子園で勝ててない大分を変えたい

2017.4.26

大分商業野球部を率いる渡邊正雄監督

大分県の高校野球界に津久見と並んでもっとも輝かしい功績をに残してきた公立の雄・大分商業。前回に続き、大分商業がシーズン中も取り組むトレーニングについて渡邊正雄監督にお話を伺った。


体作りはシーズンオフだけのトレーニングで完成するものではない。渡邊正雄監督は、信頼する強豪校の監督筋から「年間を通して続けていかないと意味がない」と言われ続け、渡邊監督自身もその必要性を重々承知していた。ただ、それだけに時間をかける決断力がなかったと言う。トレーニングも大事だけど、それ以上にやらなきゃいけないことがあるんじゃないか。また、実際にやるべきことが他に多すぎたと過去のシーズンを振り返る。

ウエイトトレーニングに取り組む大分商業野球部の選手

シーズンが始まってもなお、渡邊監督はトレーニングをやめなかった。また、やめるつもりもない。それが2日になるのか1日になるのかは分からないが、完全にトレーニングだけに集中する日を設定するつもりだ。ただ、チームにとっては初の試みということもあり、その時の状況を見ながら手探りは続くだろう、と見通しを語った。

そこまでトレーニングに集中できるということは、野球における技術的な課題がある程度はクリアできているから、そうやって踏み出すことができたのだろうか?

「というよりも『完全に何かを変えなきゃいけない』という状況なんですよ。秋にいい勝負ができたとかではなく、勝ち切らなきゃいけないと考えた時、自分が今までやってきた野球ではもう勝てないと思ったんです。今年を「勝負の年」と位置付けているので。そう、変えたかったんですよね。このまま行っても、大分県ではそこそこの結果は残せるかもしれない。しかし、大分県でそこそこの結果では、九州や全国では戦えないというのは目に見えているし、過去の結果や実際の経験がそう言っているんです。何かを変えていくために、ちょっと突っ走りたいな、と。大分商業を、というよりも、5年間も春の出場がなく、5年間も夏に勝てていない大分県を変えないといけません

下半身の強化に取り組む大分商業野球部の選手

春を戦っている中でも体作りの成果は充分に見て取れた。準優勝に終わったが、脚力やここぞの場面で強い打球が外野の頭を越えていくようになったからだ。主将の平隼は「とくに上半身のパワーアップを実感しています。打ち損じても腕の力や背中の力で持っていけたと感じる打球が増えてきたので」と成果のほどを語っている。チーム全体で体重は7、8キロほどアップした。トレーニングで体重を作ってきたという自負は確かにある。

実際のパワー数値だけでは測れないプラスアルファもある。ここぞの場面で押し込んでいく強さが出てきたと渡邊監督は言った。強引に行かないと歯車、流れを変えられない時がある。そういった場面で強引に押し切っていけるようになった。それはハードなトレーニングを続けてきたことが自信の根拠になり、選手のプレーや試合中の落ち着きに好影響を及ぼしているのだ。準優勝の春は、それらを実戦で確認できた貴重な場になった。

夏は上位シードで4年ぶりの甲子園を狙う。春の決勝で敗れ、渡邊監督の就任以降は公式戦でまったく勝てていない宿敵明豊高校を打倒すべく、大分商業はさらにトレーニングで己を追い込んでいく。(取材・写真 加来慶祐)


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