グラブの最高峰を目指し、進化を続けてきたゼットプロステイタス。
誕生から20周年を迎える来年、その集大成として発売される2017年モデルは、高いクオリティと革新的な捕球感を併せ持つ至高の一品。シリーズ最高傑作をここで紹介しよう!
【1】最高の素材「プロステイタスレザー」

【2】一体化を実現「素手感覚」

さらに、この捕球面の裏に薄くて強度のある厳選レザーを補強し、捕球面に張り感を持たせることで、手の平にピッタリさせる。まさに手とグラブを一体化させ、捕球具として大切な「素手感覚」を可能にした。
【3】NEW捕球スタイル「挟み捕り」
5本の指全体で確実に掴んで捕球をする「掴み捕り」に加え、スピードプレーが要求されるケースでゼットが新たな捕球スタイルとして提案するのがこの「挟み捕り」だ。従来のアテ捕りの進化版として捕球時に親指を起点に中指、薬指、小指の4本で軽く挟んでから、ボールを持ちかえ素早く送球することが可能。打球スピードが年々上がる高校野球でもまず確実に捕球し、なおかつ俊敏なプレーを実現する現代野球に最適なスタイルだ。プレーヤーを取り巻く環境やプレースタイルに迅速に対応し、プロステイタスを20年間作り続けた経験とノウハウを駆使して開発されたこれからのトレンドとなるこの「挟み捕り」を是非その手で体感して欲しい。


最新プロステイタスが出来るまで
ゼットクラフトマン鈴木浩氏を直撃!
ゼットクラフトマンの誇りと魂を込め作り上げた2017年モデルグラブ。
グラブ生産技術開発センター長を務める鈴木浩氏がモノづくりの極意と2017年モデル最大の特徴であるプロステイタスレザー、素手感覚、挟み捕りの裏側を明かす。
20年間変わらぬモノづくりの姿勢技術の根底には「正確性」がある
18歳でグラブ作りの世界に入り、この道35年の大ベテラン鈴木氏は「20」という数字に深い意味があるという。
「グラブ作りは、裁断、縫製、紐通し、仕上げまでの工程を分担して行います。一つの工程なら3年あればできるようになります。しかし、全ての工程をマスターし、一人でグラブを作れようになるには約20年かかります」。
最先端の技術をプレーヤーに提供してきたゼットプロステイタス。だが、時代が変わろうと、普遍的なものがただ一つある。
「それはモノづくりの基本となる『正確性』。グラブ作りにおいて正確性が最も発揮されるのは型おこし(パターン作製)です。型おこしが正確でないと、その後の工程が全てダメになります。高品質のグラブをクオリティのバラつきなく提供しているからこそ得られる信頼と安心。これらはすべて、正確な型おこしから始まっているのです。新たな捕球スタイルとして提案する挟み捕りや、捕球具の原点に立ち返った素手感覚は時代に合わせた最新の技術といえますが、型おこしの正確性があってこそ築かれる技術なのです」。
トライ&エラーの先に見える自分だけにしかわからない感覚
クラフトマンチームは、上は52歳、下は20歳と総勢15名の幅広い年代によって構成されている。チームを束ね指導をする立場にも回る鈴木氏はこう語る。
「最近の若い子は求められたことには迅速に対応できます。ただ、自分の頭で考えて行動する力が足りない。言われるがままではなく、独自に考え、工夫する。時にはトライ&エラーが大切になります。例え失敗しようが、それは経験という財産になりますから」。
昨今の高校野球においても、指導者の多くに似た言葉を聞く。素直であり、みんな良い子。しかし、失敗することを必要以上に恐れてしまう傾向があるようだ。
「自分に合った感覚というのを口で教えるのは難しい。それは野球の練習でもグラブ作りでも同じです。練習も大切ですが、その中で自分だけにしかわからない感覚というのを見つけ、大切にしていって欲しいですね」。
失敗を恐れることなく歩んだ20年間。けっして平坦な道のりではなかったであろう。クラフトマンの飽くなき探求心が、ゼットプロステイタスに結集されている。
写真左が最新の2017年モデル。右にいくごとに年代が古くなっていき、操作性重視の軽量・柔軟性を追求したモデルや耐久性メインのしっかりした重厚仕様など様々な変遷があった。プロステイタスエンブレムも台部の形状や素材、刺繍糸仕様などを微妙に変更してきた。プロステイタスの歴史がここにある。
鈴木氏に聞いた
3つの最新トピックス 開発までの裏側
(1)「プロステイタスレザー」の裏側
1/100の希少レザー
革は入荷された時点でグレードが決まると鈴木氏は語る。「プロステイタスレザーに採用されるのはほんの一部分のみ。100枚あるうちの1枚といった割合です」。プロステイタスは終始一貫、ステアハイドという成牛皮の中から厳しい選定基準をクリアしたものだけを使用、そこに耐久力としなやかさが発揮される。「日が経つにつれ手に馴染み自然としなやかさが生まれます。耐久力としなやかさの長所を崩さず絶妙なバランスが取れている革こそ厳選されたプロステイタスレザーです」。
グラブが完成されるまでに必要な全パーツ。約30種類あり、一つひとつ縫い合わせて形成されていく。
(2)「素手感覚」の裏側
ミリ単位の繊細な世界
グラブは裁断したフラットな革パーツを縫い合わせ立体化するため、シワや段差が生じやすく捕球時に手の感覚を鈍らせてしまうことも。この問題を解決すべく捕球面の裏側に強度のある薄い革をあて、ピッタリした張り感を持たせることで手とグラブの一体化に成功。「捕球面の裏に張る革は1mmというわずかな厚み。しかしこの厚さがとても重要です。シワや段差が無くなった分、ボールがグラブに入ったときにダイレクトに捕球感が伝わり、素手で捕ったような感覚を味わえます」。
黒い部分が捕球面の裏側に貼る薄い革である。捕球面に張りを持たせ、段差やシワを軽減させる。
(3)「挟み捕り」の裏側
現代野球にマッチしたアテ捕りからの進化形
挟み捕りの開発に取り組んだのは約2年前と鈴木氏は振り返る。「道具の発達やトレーニングの進化でプロ・アマ問わず打球のスピードが上がりました。それまでスピードプレーが要求されるときの捕球スタイルの主流であった「アテ捕り」よりも、しっかり挟んで捕る『挟み捕り』の方が時代に合っていると感じましたね」。実際にプロ野球選手にグラブを使ってもらい、重点的に話を聞いた。「挟み捕りは親指、中指、薬指、小指の4本がより動かしやすくなるパターン設計をしています。従来のアテ捕りでは打球スピードが速い場合、ボールを弾く可能性がありましたが、その点挟み捕りは4本の指でホールドでき、ボールをしっかり捕球しながら、なおかつ素早い持ち替えもできるようになります」。
アテ捕り(左)と挟み捕り(右)の捕球時の違い。挟み捕りは4本の指でボールをしっかりホールドできる。

Hiroshi Suzuki
1964年1月4日生まれ。静岡県出身。2014年にグラブ生産技術開発センター長就任。藤浪晋太郎投手(阪神タイガース)など多くのプロ野球選手のグラブを担当。