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【少年野球指導者のひとり言】教育的見地に立って

2016.8.19
もう随分前にになりますが、学童野球のコーチをやっていた頃にある試合で塁審をやったことがありました。その時に私の眼の前であるプレーが起こりました。

二、三塁間で挟まれた大柄な6年生の走者が、明らかにアウトのタイミングで二塁ベース上でボールを持っていた4年生のショートにタックル。ショートの選手は吹っ飛ばされて、ボールを落球してしまいました。走者は二塁ベースに帰塁。

二塁塁審をしていた私はボールデッドを宣告して他の審判を集めました。そこで「タッグした後に落球しているのでルール上はセーフですが、教育的見地からラフプレーと見なし、走者をアウトにしたい。」と主張しました。他の審判からは「いいと思いますが、攻撃側ベンチに説明してもらえますか?」と言われました。

私は責任審判ではなかったのですが、「いいですよ、別に。私が説明します。」と言って走者に「アウト」を宣告し、攻撃側ベンチに説明に行きました。

「遊撃手の落球が認められましたが、直前のプレーを『ラフプレー』と見なし、走者をアウトにしました。」と告げました。攻撃側の監督が不満そうな表情をしたので、「このプレーから子どもたちは何を学んでくれるかなぁ~」とだけ言い残して、グラウンドに戻りました。

恐らくタックルした子も故意ではなかったのだろうと思います。そもそも守備妨害や走塁妨害って、故意ではない場合の方が圧倒的にケースとして多いです。走者の子には「ああいう時は野手に接触しないようにすり抜けた方がカッコイイよ。」とだけ告げました。故意ではないので咎める必要はないと思ったからです。

野球という競技が好きだからこそ、こういうところは妥協せずに子どもたちと向き合っていきたいと思います。

※Facebookページ「少年野球指導者のひとり言」より転載。


著者:廣川 寿(ひろかわ ひさし)
愛媛県出身。松山北高校時代に投手として選抜高校野球(春の甲子園)に出場。甲南大学時代は投手として阪神大学野球連盟の数々の記録を塗り替える。社会人野球まで投手として活躍。自身の息子が少年野球チームに入部したことをきっかけに学童野球のコーチとなる。現在は上場企業の管理職として働く傍ら、横浜港北ボーイズのコーチとして「神奈川NO.1投手の育成」を目標に掲げ、中学生の指導に情熱を注ぐ。


  


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