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【秋季東海大会を振り返る】50年振りに東海大会を制した名門・静岡高の復活(1)

2014.10.28
秋の高校野球東海大会を制したのは、静岡県代表の静岡高だ。名門校ながら、東海の頂点に立つのは実に50年振りという快挙。県大会や東海大会など、直近の公式戦の10試合のうち、8試合で2桁得点をマークした攻撃力は圧倒的だった。


“守りの秋”を、高い攻撃力で制した静岡高の魅力

 新チーム発足直後の秋季大会は、一般的にピッチャーを中心としたディフェンス力が高いチームが上位進出する傾向にある。もちろん静岡高のディフェンス力も光った。1年生エース・村木文哉はしっかりとゲームを作る力があったし、それをキャッチャーの堀内謙伍(2年)が見事なインサイドワークで引き出した。2回戦の土岐商高戦で4併殺を完成させたセカンド・大石智貴(2年)とショート・安本竜二(2年)のデュオは、まだ2年生なのに、高校生としては完成の域に達しつつある。

 それでもやはり静岡高の攻撃力は見る者の印象に強く残った。土岐商高戦では3回表、クリーンアップが3者連続のホームランを叩き込んだ。5番の安本は特に強烈で、この試合は2打席連発でアーチをかけたし、次の試合でも本塁打を放った。直近の公式戦10試合すべてでチーム2桁安打を記録したように、1番から9番まで打線が途切れない。この打線なら、神宮大会やセンバツ甲子園などで、全国屈指の好投手を攻略することも十分可能だ。

 静岡高の攻撃は、何が起きても勢いが弱まる気配がないのだが、それには理由がある。送りバントをほとんどしない、積極的なヒッティングだ。東海大会でも塁上に何度も走者を置いたが、作戦のほとんどがヒッティングや盗塁で、送りバントはわずかに3つ。たとえ盗塁を刺されても、怯まずに再三の盗塁・積極走塁を仕掛けたことが勢いを失わなかった要因だ。

 この攻めのスタイルに、スタンドで観戦している他県ファンは「バントをしないね」と驚きを口にしていたが、それに対して静岡県のオールドファンから「これが静高の野球や!」。静岡大会と東海大会で野球を変えていたら優勝はなかったかもしれない。“よそ行き野球”ではなく、“自分たちの野球”を貫徹したことが優勝を呼び込んだ。

 <次ページ>  プロ注目投手も擁するなど、各校高い投手力を見せる一方で、バッテリー力にはどのチームも課題を残す


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