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【野球本紹介】書泉グランデ野球担当による、書評コラム連載スタート!

2014.10.30
みなさま、初めまして、書泉グランデ野球書担当の春宮です。このベースボールナインでは、数ある野球本の中から厳選して、野球に関わるみなさまにオススメする本をご紹介します。第1回は桑田真澄、佐山和夫共著の『スポーツの品格』(集英社)。子供達がずっと野球を好きでいてくれる、そんな環境を大人の手で作っていきたいですね。


今求められる、指導者自身の変化の必要性。日頃の練習から「小さな勝利」を意識させる

 2013年、大阪の高校バスケ部で起こった事件をきっかけに話題となった「スポーツと体罰の関係」。事件後は柔道やサッカーなど、他のスポーツでも過去の事例が公になり、社会問題になりました。著者である桑田真澄さんは、より野球界がよくなるために、いまだ残る根性論の指導法に異を唱えています。

 桑田さんは本の中で「指導者自身の変化の必要性」を挙げています。

 明治の初めに日本に野球が伝えられてから、社会環境や用具の進化など、野球を取り巻く環境は大きく変わりました。しかし、指導現場に目を向けると、未だに旧態依然とした方法や考え方が指導者の間では根強く残っていることも多く、そうした環境を強く批判しています。

 体罰が常態化してしまうと、プレイヤーである子供たちは「失敗すると怒られる」という恐怖心から一つ一つのプレーが縮こまってしまい、積極的なプレーが出にくくなり、結果的に上達の妨げになってしまうということです。

 共著者である、スポーツ史研究の第一人者佐山和夫さんは桑田さんの提示された問題の一つの提案として、日々の「小さな勝利」を挙げています。全国大会で優勝する、甲子園に出場するといった「大きな勝利」を求め続けるのももちろん大切なことですが、毎日の練習において光るもの、すなわち「小さな勝利」を見つけ、指導者がアドバイスしてあげる事によって選手自身の更なる成長を促す事が出来るのではないか、と述べています。

 昔からの伝統や慣習を引き継ぐ事も大事なことですが、そのときの時代や、生徒の考え方に合った指導法を常に探究していくことが、球児たちの成長を見守る指導者や父兄にとって重要なことですね。



【こんな人にオススメ!】
・子供達とどう接したらよいか、普段のコミュニケーションの取り方に悩んでいる指導者・保護者の方々
・時代に合った考え方や指導論を模索している指導者の方々
・プレイヤーである子供達に「野球の楽しさを伝えたい」と願う指導者・保護者の方々



『スポーツの品格』
著者:桑田真澄/佐山和夫
出版社:集英社
発売日:2013/10/17
判型:新書(167ページ)



【著者プロフィール】
桑田真澄
一九六八年生まれ。野球解説者。PL学園で甲子園通算二〇勝。八六年、読売 ジャイアンツに入団。二〇〇七年、ピッツバーグ・パイレーツ入団。〇八年に現役 引退後、早稲田大学大学院スポーツ科学研究科を修了。

佐山和夫
一九三六年生まれ。ノンフィクション作家。スポーツ史、日米野球史に造詣が 深い。『ベースボールと日本野球』(中公新書)、『野球とアンパン』(講談社現代 新書)など著書多数。桑田真澄との対談書に『野球道』(ちくま新書)。



【書店紹介】
書泉グランデ 神保町店

新刊発表会などで使用されるイベントスペースも完備。
地下1階は充実した野球コーナーを始め、スポーツ・アイドル・鉄道コーナーなど
豊富な種類の書籍が並ぶ。ここに行けばそろわないものはない?!

住所:〒101-0051 東京都千代田区神田神保町1-3-2
TEL: 03-3295-0011
   03-3295-0016(6F 鉄道フロア直通)
   03-3295-0017(BF アイドル・スポーツフロア直通)
FAX: 03-3295-0019
営業時間:10:00~20:00  [金曜日のみ] 10:00~21:00
定休日:年中無休
最寄り駅:都営三田線・都営新宿線・半蔵門線 神保町駅
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