2アウト2塁の想定で、ノッカーを務めていた監督がセンター前ヒットの打球を打ちました。当然のことながら、投手は本塁のベースカバーに走る場面です。そこで投手の選手はゆっくりと本塁方向に進みつつ、途中でセンター方向を振り向きながらカバーに向かいました。当然のことながらカバーリングできる位置まで到達することは出来ませんでした。
私は「なぜ後ろを振り向いたのか?あの場面でカバーリングのスピードを落としてまでセンター方向を振り向くことに何の意味があったのか?」ということを問い質しました。
この場面、仮にセンターが後逸したとしても、本塁カバーを経由してからでも打者走者の三塁カバーは間に合います。しかし「センターが後逸した場合に備えて・・・」という回答をすれば彼を許そうと思っていました。でも彼は結局無言のままでした。
私は「先週のミーティングで野手に安心して送球してもらえるように、『カバーリングは全力で走ろう』と約束したよね?何か意味があって後ろを振り向いたのであれば、それが間違いてあっても許そうと思っていたが、答えられないのであれば、キミの行為は単に約束を破っただけになってしまう。意味もなく約束を破ることは信頼を失う行為だ」と言って彼を諭しました。
今後彼が変わってくれるかどうかは分かりませんが、自ら考え、行動する選手になってもらうために、私は選手に対してこのスタンスは貫こうと思います。「中学生には難しい」という方もいらっしゃるかも知れません。でも「求めないと変わらない」と私は思います。
※Facebookページ「少年野球指導者のひとり言」より転載。
著者:廣川 寿(ひろかわ ひさし)
愛媛県出身。松山北高校時代に投手として選抜高校野球(春の甲子園)に出場。甲南大学時代は投手として阪神大学野球連盟の数々の記録を塗り替える。社会人野球まで投手として活躍。自身の息子が少年野球チームに入部したことをきっかけに学童野球のコーチとなる。現在は上場企業の管理職として働く傍ら、横浜港北ボーイズのコーチとして「神奈川NO.1投手の育成」を目標に掲げ、中学生の指導に情熱を注ぐ。