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【少年野球指導者のひとり言】投手の適性

2016.4.19
野球を見ていると「あの投手、どう思います?」とか、「うちの子は投手としての素質はありますか?」など、投手に対する見立てや見解を求められることがよくあります。

基本的に私はあまり否定的なことは言いません。
それは相手に気を遣っているのではなく、1度プレーを見たくらいで投手の適性なんて分からないからです。なぜならプロ野球選手など頂点に近いレベルを除けば、「投手の適性」って身体能力よりも性格の方が大きく影響すると思うからです。

投手はある意味「退屈なポジション」です。
練習も反復練習が多いし、試合でも99球良い球を投げていても、たった1球の失投で敗戦投手になることもあります。試合の中で突然ヒーローになることはほとんどなく、ゲームセットまで気を抜かず戦い続けてこそ、勝利投手の座を得ます。そのためには「地道なことを厭わない」「精度にこだわり続けることができる」「攻める勇気と、時には引くクレバーさの併用」などが求められます。

性格は環境や経験、習慣によって変わります。
小学生の時点で「投手に向いてない」と決めるのは早計だと、私は思います。性格なんて変わりますし、性格が変わればプレーだって激変します。そういうポジションなんです。

例えばうちの息子は、用具の手入れが好きになった頃から、反復練習を丁寧に取り組むようになり、その結果投球動作の精度が向上し、球速も制球力も大きく改善しました。たかが用具の手入れです。でも練習態度はとても変わりました。

野球経験者でも「投手の指導は難しい」と言われる方が多数居ます。ある程度の野球経験があれば、技術指導はできると思います。でも難しい。それは投手の経験がなければ、「投手の心に寄り添う」ことが難しいからだと思います。

※Facebookページ「少年野球指導者のひとり言」より転載。


著者:廣川 寿(ひろかわ ひさし)
愛媛県出身。松山北高校時代に投手として選抜高校野球(春の甲子園)に出場。甲南大学時代は投手として阪神大学野球連盟の数々の記録を塗り替える。社会人野球まで投手として活躍。自身の息子が少年野球チームに入部したことをきっかけに学童野球のコーチとなる。現在は上場企業の管理職として働く傍ら、横浜港北ボーイズのコーチとして「神奈川NO.1投手の育成」を目標に掲げ、中学生の指導に情熱を注ぐ。


  


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