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3月21日センバツベストゲーム 小豆島対釜石

2016.3.23
◆苦難を乗り越えた両チーム

 センバツ2日目。第1試合。2013年、遠軽高といわき海星高の対戦以来、史上2度目の21世紀枠同士の対決となった一戦。開会式で宣誓をした小豆島樋本尚也主将の言葉に運命を感じた。

「当たり前にあった景色がなくなる。その重みを僕たちは忘れたくありません。当たり前にある日常のありがたさを胸に、僕たちはグラウンドに立ちます」

 東日本大震災で甚大な被害を受けた釜石。野球部の生徒の中には、いまも仮設住宅で暮らす生徒もいる。樋本主将の言葉は、釜石ナインの胸に響いたに違いない。

 小豆島も離島というハンディを乗り越え、甲子園の地にたどり着いた。苦難を知る彼らが、21世紀枠を手にし、同じグラウンドに立つ。野球の神様が引き寄せたかのような舞台で彼らは、地元の声援を背にし必死になってプレーをした。


◆試合は1点を争う好ゲーム

 試合は小豆島のエース長谷川大矩と、釜石のエース岩間大の熱のこもった投手戦となる。1回に両投手先頭打者を出塁させることになるが、得点を許さない。

 試合が動いたのは3回表。長谷川がノーアウト1塁で痛恨のボークを献上。送りバントで3塁に進められ、この日猛打賞と当たりに当たっていた1番佐々木航がセンターへのタイムリーヒット。釜石が貴重な先制点をとる。

 その後両チーム積極的に足を使った攻撃をするも、得点することが出来ない。その中、8回裏にまたも佐々木が出塁し、3番奥村颯吾が貴重な追加点となるタイムリーヒット。

 しかし、9回表には小豆島も反撃。1アウトからヒットで出塁し、相手のエラーが重なり1点をもぎ取る。なおも1アウトで2塁のチャンス得るが、エース岩間の最後の底力の前に内野ゴロを連発。あと一歩のところで打ち崩すことが出来ず、小豆島は惜しくも敗れた。


◆積極的なバッティングで手にした大きな1勝

 両エースが完投したこの試合。互いにヒットは打たれるも、粘り強い投球が光った。勝敗の明暗を分けたのは投球数。岩間が9回122球に対し、長谷川は8回82球で試合を終えた。この数字からも分かる通り、勝利した釜石は制球力のある長谷川に対し、早いカウントで勝負する積極的なバッティングで挑んだ。

 しかし、釜石の攻撃に対し、ストレートとスライダーでコーナーを丁寧に突いていく長谷川のピッチングは敗れたものの見事であった。

 被災地に大きな希望を届ける価値ある1勝をあげた釜石。対戦した小豆島の想いも背負い、積極果敢な攻撃で2回戦に挑む。


  


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