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【少年野球指導者のひとり言】「評価する」よりも「認める」ことを大切に

2016.3.23
大人の世界でもそうですが、対人的に良好なコミュニケーションを行なう上で最初に取り組むべきことは「お互いを認める」ことだと言われます。人は相手に自分の存在を認められてこそ、その相手に対して心を開きます。

子どもも同じだと思います。「子どもだから」と見下さず、「認める」ことで指導者に対して心を開き、良好な関係が築かれます。

私にも印象的なエピソードがあります。
リトルリーグの時、大事な場面で打席が回ってきました。当時の私はあまりバッティングが得意ではなく、打順も下位に位置することが多かったのですが、その日は代打を出されることもなく、そのまま送り出されました。当時はとにかく、監督に「ナイスバッティング!」と言われることだけを目標に日々バットを振り込んでいました。そしてその打席でタイムリーヒットを打つことが出来て、「これで『ナイスバッティング』と言ってもらえる」と塁上で喜んでいました。しかし、攻撃を終えてベンチに戻った時、監督から言われた言葉は私が全く想定していない言葉でした。

「お前は去年の冬、誰よりもたくさんバットを振ってきた。あれだけ努力したんだ、打てない訳がない。」

結局『ナイスバッティング!』とは言ってもらえませんでしたが、私にとってはなぜか『ナイスバッティング!』と言われるよりもその監督さんの言葉が嬉しかったです。恐らく打撃技術よりも、自分自身を認めてもらえたと思ったからだと思います。監督さんとの距離がとても縮まったような感覚を得たのを覚えています。

プレーには善し悪しがあるので、何らかの「評価」をすることは不可避だと思います。しかし「性格」「こだわり」などは評価するものではなく、「認める」ものだと思います。そうすることで子どもたちとの距離も近くなると思います。

※Facebookページ「少年野球指導者のひとり言」より転載。


著者:廣川 寿(ひろかわ ひさし)
愛媛県出身。松山北高校時代に投手として選抜高校野球(春の甲子園)に出場。甲南大学時代は投手として阪神大学野球連盟の数々の記録を塗り替える。社会人野球まで投手として活躍。自身の息子が少年野球チームに入部したことをきっかけに学童野球のコーチとなる。現在は上場企業の管理職として働く傍ら、横浜港北ボーイズのコーチとして「神奈川NO.1投手の育成」を目標に掲げ、中学生の指導に情熱を注ぐ。


  


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