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【選抜優勝投手の系譜】済美高校・福井優也投手 〜後編〜

2016.2.25
◆大逆転で勢いに乗り、史上初のナイターゲームへ

 福井投手の体力も限界に近づき、東北(宮城)打線に4点をリードされむかえた9回裏。済美打線が驚異の粘りをみせ、まずは2点を返す。

 そして、打線は途切れることなく一番が出塁し、甲子園を異様なムードが包み始める。ここで二番がホームランを打てば同点という場面。プレッシャーがマウンドに立つ東北の真壁投手を襲い、2番も出塁する。

 そしてバッティングボックスには三番高橋勇丞選手。それまで当たっていなかったバットを振りぬくと打球はレフトの頭上を越えスタンドに。逆転スリーランで済美が歴史に残る逆転劇を収める。

 勢いに乗った済美は準決勝の明徳義塾(高知)戦でも7-6の接戦を制する。福井投手はまたも完投勝利。決勝戦はあいにくの雨予報。午前中で雨は止まず、プレイボールは大幅に遅れ、なんと日が落ち始めた16時45分に開始のサイレンが鳴った。


◆創部2年目にして選抜初Vに導いたエース

 愛工大名電(愛知)との決勝戦。疲れを隠せない福井投手を助けたのは、やはり勢いに乗る済美打線だった。先制点を奪い、終始リードした展開で試合を進める。8回裏に2点を許し、1点差に迫られるも、粘りのピッチングで6-5の完投勝利。

福井投手は最後までマウンドに立ち続け、チームを選抜初優勝に導いた。故・上甲監督は第60回大会の宇和島東以来二度目の初出場チーム・初優勝監督となった。

 その後、早稲田大学を経て、広島東洋カープにドラフト1位で入団。昨年は先発ローテーションを守り、9勝をあげる活躍。故・上甲監督は一昨年の夏にこの世を去り、現在は天国の地で教え子を温かく見守っている。

 選抜という大舞台で結果を残した高校時代。次は、プロとして一流の証である二桁勝利を目指し、福井投手の「勝負の2016年」が幕を開ける。


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