企画

【少年野球指導者のひとり言】商売道具

2016.2.26
練習の時にはいつも「ストップウォッチ」「ホイッスル」をカバンに入れてグラウンドに行きます。そして、グラウンドで私が首からストップウォッチをぶら下げていると、うちの選手は露骨に嫌そうな顔をします。私の練習にストップウォッチは必需品(商売道具)です。それは私自身の選手時代の体験に起因しています。

私は高校時代、県内でも上位に位置する進学校に通っていました。野球部の同級生には大学教授もいます。授業は7時限目まで、時には早朝の「0時限」がある日も。県内強豪校と比較しても圧倒的に練習時間が短い学校でした。必然的に「時間は有限である」という意識は強かったように思います。そして制約の中で結果を出した時、それは「自信」「誇り」になりました。

そして大人になって仕事をしていると、世の中にも数々の「制約」があることに気がつきました。「資金」「人員」「納期」など、ビジネスを取り巻くものはすべて「有限」であり「制約」があります。しかし「有限」であったとしても「有限」という「制約」の中で結果を出さなければならないのがビジネスです。

子どもたちもいずれ大人になって、「有限」の中で結果を求められるようになるでしょう。だからこそ「有限」「制約」を言い訳にせず、「制約」を乗り越えて結果を出せる人間に育って欲しいと思っています。だから練習には「タイムリミット」を設定します。

子どもたちが「制約」を乗り越えて結果を出した時、指導者としてこの上ない喜びを感じるのです。

※Facebookページ「少年野球指導者のひとり言」より転載。


著者:廣川 寿(ひろかわ ひさし)
愛媛県出身。松山北高校時代に投手として選抜高校野球(春の甲子園)に出場。甲南大学時代は投手として阪神大学野球連盟の数々の記録を塗り替える。社会人野球まで投手として活躍。自身の息子が少年野球チームに入部したことをきっかけに学童野球のコーチとなる。現在は上場企業の管理職として働く傍ら、横浜港北ボーイズのコーチとして「神奈川NO.1投手の育成」を目標に掲げ、中学生の指導に情熱を注ぐ。


 


PICK UP!

新着情報