もう一度スイッチが入った近江との練習試合
コロナとは関係ないが、冬場には規律違反を犯した主力野手が退部する出来事もあった。春になって森下も投げられず、まさに「飛車角落ち」の状態。京都国際はどん底の淵にいた。転機になったのは、6月8日に滋賀県大津市で行なわれた近江との練習試合だった。出場辞退した京都国際に代わりセンバツに出場した近江は、エース右腕・山田陽翔の奮闘もあって準優勝と大躍進。近江の多賀章仁監督の提案で、両校の練習試合が実現したのだった。
小牧監督は、近江の選手たちの成長ぶりに目を見張った。
「昨年の秋の近畿大会で近江さんを見ているんですけど、ソワソワとしていた野手にひ弱さがなくなっていました」
思えば、前年の京都国際も力があるとは言えないチームだったが、春夏の甲子園を経験するなかで見違えるほど成長した。小牧監督は「やはり甲子園は選手を成長させてくれる場所なんだ」と確信した。
「近江の選手たちが大きく変わった姿を目に焼きつけてこい、とウチの選手に伝えました。あの試合を境に『このままじゃ終わらへんぞ』と、もう一度スイッチが入ったような気がします」