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【京都国際】この夏は総力戦!センバツ辞退の悔しさを晴らす

2022.7.19

センバツ開幕前日になって突然の出場辞退。プロ注目左腕森下瑠大を要し、前年夏の甲子園四強メンバーも多数残った。優勝候補として名前も挙がった。それなのに......。
どん底から這い上がり、再び目指す甲子園。夏の京都大会を目前に控えた、京都国際のグラウンドへ足を運んだ。


センバツ優勝候補の面影なく敗れた春の大会

新型コロナウイルスの影響を受け、苦しんだ人間は世界中にいる。だが、こと高校野球界では、彼らほどコロナを憎む理由のあるチームはないかもしれない。

選抜高校野球大会(センバツ)開幕を翌日に控えた3月17日、京都国際は大会出場辞退を余儀なくされる。チーム内にコロナ陽性者が13名出たためだ。

「感染者が出たのは仕方がありませんし、ここですべてが狂いました。コロナをすべての言い訳にはできませんが……」

そう言って肩を落とすのは、小牧憲継監督だ。

大会前、京都国際は大阪桐蔭らとともに優勝候補の一角に挙がっていた。前年夏の甲子園ベスト4メンバーが多数残り、とくにエース左腕の森下瑠大は大会の目玉選手だった。

森下は「センバツで進路が変わってくるので、アピールするつもりでした」と打ち明ける。前年まで最速143キロだった球速は、一冬越えて向上の気配を見せていた。持ち前の球質、制球力、変化球の精度、マウンドでの洞察力に、さらにスピードが加われば鬼に金棒。ドラフト上位指名も見えてくるはずだった。

森下だけではない。春のセンバツに出場すれば、全国大会出場実績となり大学進学に有利に働くからだ。前年の甲子園を経験していないメンバーにとって、センバツは人生を左右する大きな出来事だったのだ。

だが、不条理な疫病によってすべて水泡に帰した。大会前の出場辞退のため、「全国大会出場」という勲章すら失われた。不祥事を起こしたわけでもないのに、京都国際は甲子園に出たということにすらならず、出場回数にもカウントされない。

「どうしようもない。現実を受け入れないと……」

小牧監督はそう言うが、しばらくはセンバツ出場辞退を引きずるムードがチーム内に渦巻いていた。

その後もコロナ余波は続く。クラスターが落ち着き、練習再開となってから多くの部員が体の痛みを訴えたのだ。コロナの影響なのか、精神的な原因なのか、偶然なのかは定かではない。そのなかには、左ヒジの痛みを訴えた森下もいた。

春の京都大会は準々決勝で西城陽に2対3で敗退。小牧監督が「まるでお通夜のよう」と形容するように、センバツ優勝候補の面影はなかった。


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