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【都立新宿】春に旋風起こした「文武両道」の伝統校

2022.5.25

大都会新宿のド真ん中にある文武両道校、都立新宿高校。そんな高校の硬式野球部がこの春の東京大会で旋風を巻き起こしました。躍進の陰には母校の伝統を大事にする、OB監督の姿がありました。


都会のド真ん中にある伝統校

コロナ禍以前には、1日の平均乗降者が約350万人にも上った新宿駅。ギネスブックにも認定されている世界一利用者が多い駅である。

この新宿駅から徒歩5分の場所にあるのが都立新宿高校だ。地下鉄の新宿三丁目駅からは徒歩2分。甲州街道に面した校舎の北側にはマルイアネックス、南側には新宿御苑、西側にはタカシマヤタイムズクエアやドコモタワーが見え、まさに都会のド真ん中。初めて学校を訪れた人は、立地環境にまず驚く。



歴史は古い。今年、記念すべき100周年を迎えた。

前身は、1921年に開校した府立第六中学校。男子校として始まり、1950年に都立新宿高と改称したときに、男女共学に。音楽家の坂本龍一氏はじめ、政財界、文化芸能界に数多くの卒業生を送り出している。

2007年には「進学指導特別推進校」に指定され、月3回の土曜日授業を実施するなど学力強化に力を入れる。昨年度は現役浪人合わせて、3人の東大合格者が誕生。東大硬式野球部の井手峻監督(元中日ドラゴンズ)は、新宿高のOBであり、2017年から2年間は母校の特別コーチを務めた。
立地の良さと、学力の高さが相まって、昨年度の都立入試では最多受験者、さらに最高倍率を記録。都内屈指の人気校のひとつとなっている。

「新宿愛」に溢れた指導陣

この春、新宿高の硬式野球部が旋風を巻き起こした。

選手12名、女子マネージャー2名の計14名(1年生は正式入部前)で、9年ぶりに都大会で勝利を挙げると、2回戦では東海大高輪台に10対9で打ち勝ち、3回戦進出。エースの青栁光祐が粘り強く投げ抜き、打線は主将の一村幸、主砲の高橋寛太朗を中心に東海大高輪台の投手陣を打ち崩した。

昨年は夏の都大会で7年ぶりに勝利の校歌を歌い、秋には24年ぶりに都大会に出場。“久しぶり”が続いている。

かつては1979年夏、1993年夏にベスト8入りを果たすなど、上位に顔を出していたが、近年は学力向上の流れもあり、勝てない時期が続いていた。



チームの改革を推し進めたのは、2017年に赴任した田久保裕之監督(2014年春に小山台高の助監督でセンバツ出場)と、2019年に着任した長井正徳助監督だ。田久保監督が全体のマネージメントを担い、長井助監督は練習を統括し、細かい技術指導に力を注ぐ。さらに、東京学芸大4年生の小幡哲央が、学生コーチとして、選手とともに体を動かしながら指導にあたる。

3人ともに新宿高のOBであり、“新宿愛”に溢れている。大学生時代に長井先生は学生コーチ、田久保先生は学生監督を務めた経験も持つ(ちなみに田久保先生が高校入学したときの助監督は長井コーチ)。
「新宿高の伝統をつなげて、高校野球の良き文化を伝えていく。それが、私の役割だと思っています」(田久保監督)


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