トレーニング

【仙台育英】名将によるバッティング上達メソッド!(須江航 監督)

2022.4.22

スケールアップを目指す冬
打球飛距離・打球角度を追求する

グラウンドを訪れたのは、2020年1月。底冷えする寒さに思わず体が震えたが、選手たちはグラウンドでフリーバッティングとロングティーに取り組んでいた。どの選手も、全身を目一杯使ったフルスイングで、遠くに飛ばそうとする意志が伝わってきた。
「あれでいいんです。今はそういう時期なので」と、監督室から静かに見守りながら、言葉を続けた。
「秋の東北大会が終わってからは、バッティングの底上げに取り組んでいます。具体的に言えば、角度を上げて飛距離を出す、打球速度を上げる。つまりは、出力を上げていく。この時期にスケールアップに時間をかけておかなければ、出力が上がらないまま、シーズンを迎えることになってしまう。体の小さい選手や、足が武器の選手であっても、飛距離と打球速にこだわっています」

この練習においては、細かい技術はほとんど触れない。一本足で打とうが、後ろ肩が下がろうが、アッパースイングになろうが、問題にはしていない。大会期間中はどうしても目の前の数字(結果)が気になり、バッティングが小さくなりがちだ。それを一度ぶち壊し、スケールアップに挑戦する。
「バッターのタイプや可能性を見極めるうえでも、一度は通る道だと思いますし、通らなければいけない道だと思っています。昨年も同じ取り組みをして、そこで小濃(塁/日大)や大栄(陽斗/中央大)のバッティングに力強さが加わるようになりました」

目指すべき数字も明確にして、3年夏時点でスイングスピードは140キロ以上、打球速度145キロ以上(ティーバッティング)が目標値となる。例年、レギュラー陣はこれに近い数字を持つ。

同時に、食事とウエイトトレーニングによる体重アップ、筋力アップにも力を注ぐ。年間計画表にある、「大きさ〉速さ」に当たるところだ。速さを求めるのはシーズンに入ってからでいいので、冬の時期は大きさを求めていく。140キロ台後半のストレートが武器で、打では長打力が魅力の笹倉世凪は、冬だけで8キロ近い体重アップに成功した。
「冬は大きさが再優先。2月に入ってからは、シーズンが近くなるので、速さが優先になります。一塁駆け抜けのタイムが落ちるなど、何か弊害が見られるようであれば、体重を落としていきます」

秀光中時代から実践しているが、須江監督はさまざまな数字を取り、記録する。ピッチャーであれば、ストライク率や奪空振り率、走者一塁からの被進塁率など、多岐に及ぶ。
「選手を客観的に評価するには、数字は欠かせません。メンバーを決めるときに、周りが納得する判断材料にもなります」
「チャンスに強いだろう」「抑えてくれるだろう」といった主観を排除し、選手を評価している。


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