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【少年野球指導者のひとり言】勝ち方よりも負け方にこだわる

2016.1.4

 前回の記事に対して、「弱いチームが試合して負け続けることは逆効果ではないか?」というご指摘を頂きました。確かに負けに慣れると試合に対して能動的な姿勢を保てなくなる側面はあります。しかしそれは「試合をすること」や「負けること」に問題があるのではなく、「負け方」に問題があると思います。

「勝ち試合」は「勝つ」ということだけで学ぶことはたくさんありますが、そのほとんどは指導者が教えなくても選手は勝手に会得します。成功体験って自発的に学ぼうとするからです。一方で負け試合には何も収穫がないかのように感じてしまいます。だからこそ指導者が「負け試合に意味を持たせる必要がある」と私は思います。

 例えば1学年上の凄い投手が出てきて「こりゃうちでは打てないな」と思えば、選手を集めて「みんなで協力してこの回に、アノ投手に20球投げさせよう」という目標設定をします。これを5イニング続ければ合計で100球。小学生の場合、100球投げるとほとんどの投手は球威が落ち、制球が乱れます。仮に試合に負けても「好投手を苦しめた」という経験は自信になります。

 勝てる試合で「勝ち方にこだわらなければならない試合」って、勝ち試合全体の2割くらいだと思います。それくらい「勝ち方にこだわる」ことはあまり大きな意味を持たないと思います。でも「負け試合」は100%、「負け方にこだわる」べきだと思います。

※Facebookページ「少年野球指導者のひとり言」より転載。


著者:廣川 寿(ひろかわ ひさし)
愛媛県出身。松山北高校時代に投手として選抜高校野球(春の甲子園)に出場。甲南大学時代は投手として阪神大学野球連盟の数々の記録を塗り替える。社会人野球まで投手として活躍。自身の息子が少年野球チームに入部したことをきっかけに学童野球のコーチとなる。現在は上場企業の管理職として働く傍ら、横浜港北ボーイズのコーチとして「神奈川NO.1投手の育成」を目標に掲げ、中学生の指導に情熱を注ぐ。


  



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