東地区6校、西地区6校に分かれてリーグ戦を行う北関東。上位2チームで優勝を争う決勝トーナメントは激アツだ。メイン球場は1万5000人収容の宇都宮・県営運動公園野球場。両翼98m、中堅122m、フルカラーLEDのスコアボード仕様という環境で試合ができるのも、北関東の選手たちのモチベーションになっている。
大学受験を終えたあと、「また野球やりたい」と思った人に
北関東リーグは国公立大学が元気だ。12校中6校が国公立である。今春の決勝トーナメントは埼玉大―宇都宮大という顔合わせになり、埼玉大が16−4で宇都宮大に勝利した。決勝リーグで高崎健康大を5-3で破った宇都宮大の宇那木駿介主将(4年・室蘭栄)は「うちは継投策で勝つのがカギ。今日のようにうまく行って私大に勝つのが面白い」と話した。国公立の選手は学部を基準に大学選びをし、入学後に準硬式野球部があることを知る選手が多い。建設コンサルタントに憧れて地域デザイン学部に入学した宇那木主将は監督も兼任する中で「力がないぶん、頭を使った野球で勝つのが良い。学生判断なので選手から批判を受けることもありますが自分の頭の中を公開して、理解を得られるようコミュニケーションを取っています」と工夫を語った。2010年は群馬大から巨人に入団国立準硬式からプロも夢ではない!?
北関東連盟の学生委員でもある埼玉大・三谷拓未選手(3年・三木)はリーグの魅力、準硬式のメリットを次のように語る。「東西に分かれているので、決勝リーグでは初見の相手と戦う場合がある。そこが難しさでもあり、面白さです。国立を選ぶ学生は、資金面で親に負担をかけたくない人が多い。金属バットを使うから硬式よりお金がかからない。準硬式はおススメだと思います」。2010年に群馬大荒牧のエース神田直輝投手が巨人育成枠5位でNPB入りした。国立準硬式からプロも夢ではないことも実証済みだ(神田投手は現在、群馬・藤岡北で硬式野球部監督)。甲子園常連校でおなじみの健大高崎の系列大学、高崎健康福祉大には女子ソフト出身の川上さくらさん(2年・健大高崎)が選手として入部するなど、規定観念にとらわれない柔軟な野球観も、北関東にはあふれている。
宇那木駿介(宇都宮大)
▪守備:内野手/主将
▪学年:4年
▪出身校:室蘭栄
学びたい学部に惹かれて、室蘭から宇都宮に移り住んだ。願いが叶い、日本一の総合経営コンサルタント会社・日本工営(株)の内定も決まった。「就活と野球の両立もできる準硬は良いですよ。新入部員がゼロなのでぜひ一緒にやりましょう!」とPR。楽しく文武両道したい高校生にメッセージを送った。「高校野球いいですよね。母校には146キロ右腕・住吉壮野投手がいるので応援よろしくお願いします!」。
三谷拓未(埼玉大)
▪守備:内野手 ▪学年:3年
▪出身校:三木(香川)
自ら適時打を放ち清瀬杯出場を決めた。「エース前川が最少失点に抑えてくれた。全国1勝できるよう頑張ります」と抱負を語る。四番打者兼学生委員の三谷選手。春はツイッター「#春から埼大」で部員集めに奮闘した。
川上さくら(高崎健康福祉大)
▪守備:内野手 ▪学年:2年
▪出身校:健大高崎
女子選手として登録し男子と同じ練習をこなす。磯貝貴大監督も驚く努力家だ。川上さんは健大高崎時代、インターハイ出場の元女子ソフト選手。「準硬はスローイングのバウンドが難しいですが楽しんでやっています」と話す。
市川斗麻(帝京大宇都宮)
▪守備:外野手/主将 ▪学年:4年
▪出身校:前橋東
高校時代は主将として創部初の春4強、夏8強。「いい結果を残せたら野球にピリオドを打とう」と決めていたが、準硬式を選び9ブロック大会にも出場。「やっぱり野球が好きですね。同じような高校生にも薦めたい」。
舟久保快都(共栄大)
▪守備:投手 ▪学年:3年
▪出身校:共栄学園
エース兼主務としてチームを支える舟久保投手。「昨秋は関東王座戦で横浜スタジアムでプレーできた。硬式では通用しないと思って準硬を選びましたが、いろいろな経験ができて充実しています」と話す。秋の優勝を狙う!