横浜DeNAベイスターズの本拠地・横浜スタジアム、横須賀スタジアム(2軍球場)で試合ができることが最大の魅力だ。また、「ハマスタ」は夏の神奈川大会・準々決勝からの舞台でもある。16強に入れなかった神奈川球児が再びハマスタでプレーすることを目指す。神奈川リーグには、魅力的な独自の神奈川ステータスがある。
他リーグからもうらやましがられる環境。 ハマスタで試合をしよう!
「え? 準硬でもハマスタで試合ができるの?」。そんな声がたびたび聞かれる。ハマスタで大学野球をしているのは、硬式の神奈川大学リーグ、首都大学リーグだけではない。コロナ禍で流動的になってはいるが、準硬式の神奈川リーグも最低1回は試合会場に使用している。今年は5月30日にリーグ戦閉会式が行われ、個人タイトルとベストナインの選手が表彰を受けた。ハマスタでのプレー写真は、何といっても「映(ば)える」。学生委員の中静みなみさん(3年・横浜国大)は「新潟出身(新潟明訓)の私にとって、プロ野球の本拠地に入れるというだけでも感激します。他リーグの学生からもうらやましがられることが多いです。新入生の勧誘もそこを強めに言うようにしています」と笑った。コロナ禍で運動部の部員集めが難航する中、横浜国大はラグビー部と合同でオンライン説明会を行い、異例の16人もの新入生が加わった。SNSでの発信に力を入れている。ハマスタは、県外者にとっても聖地。親に雄姿を見せられる場
もう一つの魅力が毎年8月に石川県営球場で行っている「北信越遠征」だ。神奈川、新関東、北信越など6チームの選抜メンバーで交流戦を行っている。神奈川リーグは1年生主体のチームで参加する。顧問の成瀬承司監督(関東学院大)は「バスで移動し2日間6試合を行います。懇親会では他大学の選手とあっという間に仲良くなり、学生生活のいい思い出になるようです」。遠征再開に向けて知恵を絞っているところだ。「神奈川出身でなくても、ハマスタで試合ができるのは魅力だと思う。野球道具代をアルバイトで稼ぐ選手も多いです」と鈴木志音選手(4年・前橋育英)。ハマスタは特別な場所であることは間違いない。植田大暉
(防衛大学校)
▪守備:内野手
▪学年:4年
▪出身校:関大一
枚方ボーイズー関大一(陸上部)―防衛大という輝かしい道をたどってきた植田選手。受験勉強に集中するため一度野球から離れたが、準硬式に再び戻ってきた。今季は一番サードで全10試合に出場し活躍した。「うまい選手がたくさんいて刺激になります。昨秋にハマスタのショートを守るなど良い経験をさせてもらっています。秋は関東学院か神大に1勝はしたいです」。環境に感謝しつつ秋の目標を口にした。
杉本武士(麻布大)
▪守備:外野手 ▪学年:2年
▪出身校:京都市立紫野
「未来の獣医」が集まる麻布大。6年制だが選手たちは3年で引退となる。「小動物が好きで獣医の道を目指した」と言う杉本選手も準硬を楽しむ一人。今季は9試合に出場し神奈川大戦の2安打含む5安打1打点を挙げた。
宮崎泰地(神奈川大)
▪守備:内野手 ▪学年:3年
▪出身校:常葉菊川
長瀬裕則監督が「主将が良い空気感を作り出している、意識の高いチームになった」と評する宮崎主将。高校時代に教わった自主自立の野球をチームに浸透させ全国大会出場を勝ち取った。全国舞台は「1勝にこだわる」。
佐藤 凛(神奈川大)
▪守備:外野手 ▪学年:2年
▪出身校:盛岡大附
瀬谷ボーイズから盛岡大附に進み「勉強がしたくて神奈川の大学を受験した」。高校時代はメンバー外。大学で初の全国出場となる。「神大は雰囲気が最高。『準硬?もったいない』って言われたけどそんなことないですよ」。
水野竣介(横浜国大OB)
▪元学生委員長 ▪社会人1年目
▪出身校:磐田南
神奈川リーグを陰から支えるのが水野さんだ。今春横浜国立大を卒業したが、コロナ禍で苦労している球場探しを、学生と行った。「横浜スタジアムで試合ができることの喜びをコロナ禍で途切れさせたくない」と恩返し。