第63回関東地区大学準硬式野球選手権大会は中央大が4年ぶり14回目の優勝を果たした。石井―近野の左右エースの継投策と強化した打撃が発揮されての4連勝。これにより全日本大会の出場も決定。國學院大は連覇へあと一歩だった。
努力しても実るとは限らないが、努力しないと実らない
優勝校に全日本選手権出場枠「1」が与えられる関東選手権大会が3月15日に開幕。参加62チーム中、国公立・医学部系の24チームが出場辞退を余儀なくされたが、昨年同様に感染予防対策を徹底し、12会場で無観客試合という形で開催された。優勝は中央大、準優勝が國學院大、3位が国士舘大。すべて東都リーグという結果になった。ゲームセットの瞬間、万感の思いがあふれた。中央大は4年間遠ざかっていた関東制覇。昨秋の関東王座制覇に続く“連覇”に池田浩二監督は「序盤から雑な動きがひとつもなく、選手たちが集中していた」とトーナメント戦を勝ち抜いた選手を称え「工夫をしながら大会を運営してくれた学生委員、関係者に心から感謝したい」と敬意を口にした。
「根拠ある優勝」だった。昨夏までの中央大は好機に適時打が出ず、得点力不足に泣かされてきた。2月の浜松合宿では選手間で話し合い「試合の中で振れる力をつけよう」と意識を統一。連戦にも耐えられる基礎体力をつけるために山道ランニング、体幹トレーニングなどを例年以上に行い、打撃練習では投手をマウンドより3m手前から投げさせて、直球の速さ、打席での状況判断を磨いてきた。グラウンド練習に戻ると、チームの支援者たちから贈られた打撃マシン3台を使って選手全員が打席で数多く打つことに専念。感謝を一打に込め、関東選手権5試合は52安打中21本が長打(計39得点)という結果に。これまでの守備型チームのイメージを一変させる「打の中大」を実証してみせた。
近年は部活動の合理化が推奨され、短時間練習を選択するチームが多い。池田監督も時代に合わせた中大スタイルを模索しながら、あえて「練習は嘘つかない」と言い続ける。「努力しても実るとは限らないが、努力しないと実らない」。冬から振り込んだ選手たち。全国でのV奪還を目指す。
優勝インタビュー
森 康太朗主将(4年・捕手・静岡)
「4年生の意識が変わった。一体感で勝つことができた」
「経験力のあるメンバーが力を発揮した大会。コロナ禍を言い訳にせず、冬場から1日500スイング以上を課して振り込んできた結果が出ました。自主練習で自分を追い込んできた努力の賜物だと思います」と満面の笑みで喜んだ森主将。昨秋からのケガに泣かされた大会だったが主将としてベンチから仲間を鼓舞した。「意識が1番変わったのは4年生。自分中心だった考えがチームのために考えるようになった。一体感ができれば結果はついてくる」。次は全国。自覚が芽生えた4年生が後輩たちを背中で引っ張る。
準V 國學院大學
東都2部リーグながら2年連続決勝進出。連覇は逃したがトーナメント戦の強さを発揮した堂々の戦いだった。日高陽彩主将(3年・二松学舎)は「昨年の優勝は関係ない。原点に戻って1戦1戦を戦った。中大は強いので低めの変化球を捨てて、ゾーンを上げて打った」と相手より1本多い9安打を振り返る。最終回は2点を挙げ意地を見せた。日高主将は今大会4試合で5割2分9厘。高校時代はメンバー外だった。「昨年の関東優勝のあと、20人の1年生が入部した。熱い子たちが集まった」。監督兼任の主将として全日本大会でも台風の目となる。
Pick up コロナ禍での挑戦! BCリーグ・茨城がライブ実況で全国発信!
コロナ禍2年目の関東選手権は学生委員が新たなチャレンジを見せた。「無観客試合」にフォーカスし、今年はSNSでの発信を強化。速報アプリ「一球速報」で配信しつつ、関東連盟インスタグラムで試合後インタビューを動画配信した。また、BCリーグ・茨城アストロプラネッツ、野球中継ドットコムの協力で、準決勝・決勝をYouTube生配信。球場に行けない関係者、ファンに向けたサービスを行った(アーカイブ有)。