個性豊かな投手陣の素顔を暴くため、彼らのことを一番よく知る岩田優真捕手をゲストに迎え座談会を開催。
終始笑いに包まれたいい雰囲気とテンポのいい掛け合いに、チームワークの良さを改めて感じる。
——岩田くんからみて4人はどんな投手?
岩田 そうですね、小林はムードメイカー的な存在。小林が調子に乗ってくるとチームの調子も上がるので、小林を乗せることでチームは勝利に近づきます。その反面、流されやすく調子が悪くなるとみんなで修正していく必要があります。
小林 (苦笑)。
岩田 永島田は基本的にテキトー人間(笑)。でも、ピッチングに対してはひたむきに頑張るし、試合になると意志をハッキリ伝えてきて心強い。小林同様ムードーメイカー気質があり、チームの勝利に貢献してくれます。小林と比べると波が少ないというのも特徴かな。
永島田 (神妙にうなずく)。
岩田 東田は表には弱いところを見せないクールなタイプで頼り甲斐があるんだけど、実はピンチのとき人知れず弱気になっていることもあるタイプ。そういうときにみんなでカバーするっていうのが、自分のテーマとしてあります。
東田 (複雑な表情)。
岩田 上藪はナルシスト的な側面があって、そこを悪く捉えられがちだけど、僕は投手としての強みになっていると感じます。いいピッチングをしているときは誰も止められないくらい勢いがあるし、悪い方向にいくことも他の投手に比べると少なくて大ケガしません。
——すごい的確な表現だったけれど、投手のみなさん言われてどうですか??
投手陣 合ってます。(全員苦笑)。
——立花学園は選手主体の指導方針だけど、入ってみて驚いたことはある?
小林 「自主練が多い」とは聞いていたけれど、ここまで多いとは思わなかったです。3時間練習のうち1時間が自主練とかかな?って勝手に推測していたけれど、実際は平日3時間の練習時間、丸々自主練のこともよくあるので、こんなに選手主体なんだって驚きました。嬉しかったです。
東田 自分は最初戸惑うこともありました。自主練が毎日のようにあるんですが、そこで自分が何を練習するべきなのか、そもそも自分に何が足りないのか、考えるのが難しく感じました。
——どうやってその壁を乗り越えたの?
東田 情報能力が高い選手にいろいろ聞いたりして、すこしずつ知識を増やし、考えを深められるようになっていきました。
——ほうほう、情報通の選手がいるんだね。なんて選手ですか?
岩田 3年の捕手、冨樫です。冨樫が作った数十人のグループLINEがあって、そこで情報発信をしているんですが、みんな「トガシアカデミー」って呼んでいて。
——トガシアカデミー!
岩田 メジャーリーガーの打撃術を研究したり、新しいトレーニング方法を教えてくれたり、野球だけじゃなく他の競技のアスリートの考え方を紹介したり、情報の精度が高いんです。有料のサロンに入って情報を得たりしていてとても勉強熱心で噛み砕く力もある。最近では、志賀先生も新しいこと始めるときはまず冨樫に話して広めてもらっています。
——それはすごい! 強い味方ですね!
岩田 立花学園は、考えている奴には自分の考えを試す時間がたくさんあって有意義だけど、考えていない奴は1日無駄にするだけ。考えないと始まらないんです。
——ラプソードを初めて使ったときはどうだった?
上藪 最初は「なんでこんな高い機械買うんだろう?」って正直思っていました(笑)。いまでは欠かせないものになっているけれど。
小林 立花学園で出会うまで、こんなマシンがあること自体知りませんでした。ただ、使ってみたら自分の球が全部データ化されて、めちゃくちゃ面白いと思いました。
東田 最初は出た数字をみても何を意味しているのかわからなかったけれど、調べていくほど面白みが出てきました。
——数値で一番意識しているのは?
小林 球速はもちろんですが、変化球のときの回転軸や曲がりをよくみています。
上藪 スピン効率を意識しています。
岩田 キャッチャーも参考にしています。ラプソードの横からの視点が加わることで、曲がり始めがわかり、変化球を再評価できます。小林のスライダーはその代表例で、途中までまっすぐとほぼ同じ軌道なのに最後に手元で曲がるんです。こういう曲がりだと打者は打ちづらくなります。同じ変化球でも投手によって特徴があるから、それを知ることで配給に生かせる大事なツールです。
——ちなみに、みんなは数字に苦手意識はない? 数学とか得意?
東田 僕は得意です。大好き。
小林 得意じゃないけれど、人並みかな?
上藪 数学無理っす。一番苦手。
永島田 全教科ダメです。 一同 (爆笑)。
——数学苦手組もラプソードは平気?
上藪 野球のことだから、最初から楽しむことができました。
——なるほど、みんな“自分ごと”だから、抵抗なく楽しめるんですね!
(取材/文 高橋美由紀(座談会) 写真/小沢朋範)
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