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【柴田】こうして僕らは強くなった!
東北大会準優勝を勝ち取った練習初公開

2021.1.26

雪の中の山道トレ。風土に合わせたパーツ練習「自主的に考え、量が質を生むような練習を」


気温マイナス3度の中、元気な掛け声でウォーミングアップする選手たち。
柴田のウォーミングアップには、必ず盗塁練習が含まれている。0.1秒でも速くスタートが切れるように、と目と身体に感覚を染み込ませているという。「ピッチャーの癖を読むのも慣れが必要ですからね」と平塚監督。足の速い選手だけでなく、全員が先の塁を貪欲に狙う意識が徹底されていた。キャッチボールや、守備の捕球練習についても、様々な体勢から正確なボールが投げられるような練習が行われていた。実戦を想定した動きを身に付けさせたいという平塚監督のこだわりが随所に見えるパーツ練習だった。

短時間練習がフィーチャーされる昨今だが、柴田の練習は決して短くない。「投げる、打つ、捕るーー。野球というスポーツは、練習量でうまくなるスポーツだと思うんですよね。量が質を上げるといいましょうか。長距離走にしても、時期を決めてやることが必要だと私は思っているんです」と平塚監督。それでも「やらされている練習」にはならないよう、この日の山道トレーニングは選手たちに何本走るかを決めさせた。「12本で行きましょう!」。遠藤瑠祐玖主将(2年)やムードメーカーの市川爽(2年)が率先して声を出す。強い代は自主性も高い。東北大会を経て、練習に対する意識がより高まったという。

平塚監督から「こんな古風な(山道)練習をしているところ、他にありますか?」と聞かれた。東北の冬は長く、寒い。練習では雪や凍結との共存が常だ。日の入りも早く、あっという間に暗くなる。だが、そんな厳しい風土の中で、互いに声を掛け合いながら行われる練習を見ていて、都会にはできない良さもあるなと感じた。これも高校野球の魅力だろう。「東北大会では試合に出てない子が、試合に出ている子の力を引き出した。そういうところがこのチームの強みなんだよね」。人生で壁にぶつかったとき、仲間と走ったこの山道トレを思い出してほしいと思った。

新型コロナウイルス感染症の影響で、今年の冬練習は例年通りとはいかないが、身体から湯気を出しながら走る選手を見て感じたのは「公立の柴田が東北大会で準優勝したのは、運だけではない」と言うことだ。努力に裏付けされた、質の高い練習があったからだ。「練習は嘘つかない」。平塚監督は令和の時代も、この言葉を大切にしている。

リポート第3回 谷木亮太投手インタビュー&選手座談会 に続く
リポート第1回 足と守備で私学打破。決勝敗戦も「お前たちすごいぞ。俺は誇りに思うぞ」

(取材・文・撮影/樫本ゆき)
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