企画

社長になった「球児」に会いにいく|澤井芳信(京都成章出身)株式会社スポーツバックス(1)

2020.12.30

高校野球を頑張っている皆さんにもやがて社会に出て働く日が訪れます。まだまだ先のことかもしれません。でも今から「自分は将来どんな仕事をしたいのか?」を考えていると、進むべき道、進路がぼんやりと見えてくると思います。

今回登場するのは京都成章で甲子園準優勝も経験している株式会社スポーツバックス代表取締役の澤井芳信さん。まずは会社のことを伺いました。


【目次】
奥が深いマネジメントという仕事
忘れられないワールドシリーズ優勝の瞬間

▼澤井芳信さんプロフィール
1998年、京都成章の「一番・ショート・主将」としてチームを率い、春夏連続で甲子園出場。夏には決勝まで駒を進め、“怪物”松坂大輔を擁する横浜高校と対戦し準優勝。高校卒業後は同志社大へ進み、社会人野球のかずさマジック(現・新日鐵住金かずさマジック)でプレーした後、スポーツマネジメントの会社に転職。現在は上原浩治、平石洋介、鈴木誠也など、野球選手をはじめとした多くのアスリート等マネジメントする株式会社スポーツバックス(http://www.sportsbacks.com/)の代表取締役を務める。

奥が深いマネジメントという仕事


――スポーツバックスはどんなことをしている会社なんですか?

アスリート、そしてスポーツを支える側の人のマネジメントをメインに行っている会社ですね。

――「メインに」ということは他の事業もされているんですか?
トレーナー派遣も行っています。社会人野球の強豪チームなどにも派遣させていただいているのですが、コンディショニング、フィジカル、ケア、それぞれの専門家を弊社がマネジメントして派遣させていただいています。特徴的なのは、例えば普通は一人のケアトレーナーがずっとそのチームなり個人を見ると思いますが、弊社のサービスは必要な時に必要な場所に適宜トレーナーが伺うというスタイルをとっている点です。これは私自身が長くアスリートの現場にいましたので、こういったサービスができたら面白いなと思っていたことでもあります。あとは、野球場などのスポーツ施設を作るコンサルティングも行っています。

――「マネジメント」という言葉はよく耳にしますが、分かっているようでよく分かりません。実際はどんなことをする仕事なんですか?
マネジメントという仕事は、所属するアスリートたちの活動する領域すべてのこと、それはスケジュールであったり出演オファーであったりなんですが、そういったことを相談して決めたり、逆にアスリートからの「こういうことをしたい」といった相談を受けて実現できるように協力したり、そういった仕事ですね。

――マネジメントの仕事で一番重要なことって何ですか?
(マネージャーとして)選手、アスリートをリスペクトすることですね。あとは選手、アスリートってやっぱりすごい人たちですから、そんな人たちと対等なパートナーとしてマネジメントをしていくためには、自己研鑽して常に自分を向上させていかないといけないという意識を持つことですね。

――マネジメントする側に求められる必要な資質はありますか?
難しい質問ですね(笑)。うーん、人に尽くせる性格……?いや、違うな。ちょっと待ってくださいね(笑)。

上原浩治さんの例で言わせていただくと、ジャイアンツ時代のすごい実績や一浪していたときの苦しみだったりとか、私は共有できていないんです。私がマネジメントさせていただいたのは上原さんがメジャーリーグに移籍してからですから。メジャーリーグでももちろん活躍されましたけれど、私の知らないジャイアンツ時代などに築かれた価値も含めて今の上原浩治の価値ですよね。そういったことを理解した上で仕事をすることですね。

――今の上原さんの価値全てを自分も一緒に作り上げたものだと勘違いしてはいけないということですね。
そうですね。担当する選手、アスリートには、マネージャーが担当する前からその人が積み重ねてきた価値があって、それがあって今の仕事につながっている。そのことを理解した上でマネジメントしないといけないということですね。

忘れられないワールドシリーズ優勝の瞬間




――アスリートと共に海外に同行されたりもしていますよね。言葉の通じない国で、世界中のファンが注目する中で失敗が許されない場面もあると思いますが、プレッシャーで押し潰されたりはしないですか?
失敗はしますよね。でも同じミスは繰り返さないように、一番大事なところだけは絶対に失敗しないように、そういったことは心がけています。結構皆さんに迷惑をかけてきたかもしれないですけど(笑)。

――これまでで一番の失敗は?
いろいろあるんですけど(笑)。フロリダのキャンプで上原さんを球場に送る時に車をぶつけてしまったことですかね。

――澤井さんの車を?
いえ、上原さんの車です(笑)。

――怒られました?

「形あるモノはいずれ壊れる。しゃあない」って上原さんは怒りませんでしたけど、優しい言葉をかけてくださって、むしろ申し訳ない気持ちでいっぱいで……。修理してくれるところをなんとか自分で探して持って行きました。英語はあんまり喋れなかったですけど。

――対応力と行動力が求められますね。
やるしかないですからね(笑)。

――マネジメントの仕事をやっていて一番嬉しかったこと、この仕事をやっていて良かったと思うことは?
それはもちろん上原さんがワールドシリーズで優勝したときですね。メジャー1年目でケガをして、自主トレのときから一緒にいて苦労してきたこともずっと見ていましたから。あの瞬間は忘れられないですね。

上原さん以外でも、やりたかった仕事が取れたときとか、重圧のある仕事をやりきって解き放たれときとか、そういう時間をアスリートたちと一緒に共有できるというのは、この仕事にやりがいを感じるときですね。

――最後に今後の目標、ビジョンを教えてください。
この会社を信頼してくれている従業員、クライアントの皆さんがご飯を食べていけるように……というとちょっと話しが小さいかな(笑)。みんながハッピーになればいいなと思っています。それが少なからず社会的影響を及ぼしていきながら「スポーツって良いよね」ということが多くの人たちに分かってもらえると良いなと思います。

高校時代、大学時代のお話を聞いた「後編」に続きます!
(取材・写真:永松欣也)


▼プロフィール

澤井芳信(京都成章出身)
1998年、京都成章の「一番・ショート・主将」としてチームを率い、春夏連続で甲子園出場。夏には決勝まで駒を進め、“怪物”松坂大輔を擁する横浜高校と対戦し準優勝。高校卒業後は同志社大へ進み、社会人野球のかずさマジック(現・新日鐵住金かずさマジック)でプレーした後、スポーツマネジメントの会社に転職。現在は上原浩治、平石洋介、鈴木誠也など、野球選手をはじめとした多くのアスリート等マネジメントする株式会社スポーツバックス(https://www.sportsbacks.com/)の代表取締役を務める。


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