学校・チーム

【慶應義塾】森林監督に聞く、「高校野球の3つの価値」

2020.12.17

(2)自分自身で考えることの楽しさを知る価値

写真提供:東洋館出版社

――2つ目の価値が「自分自身で考えることの楽しさを知る価値」。森林監督が現役時代に当時の上田誠監督から「自分たちでセカンドの牽制のサインを考えてみなさい」と言われたことで考えることの楽しさを知ったそうですね。選手たちにも同じように話されているのでしょうか?
数限りなく色々とありますが、練習方法とか自分たちで考えて提案して欲しいとはよく言っています。ついこの前も2週間はコーチが考えたメニューを行って、そのあとの2週間は選手中心に考えたメニューで2週間練習を行ったところです。

――大学野球を取材していると選手達から「大学で初めて自分自身で考えることの楽しさを知りました」という声をよく聞きます。そういった声が高校であまり聞かれないのはなぜだと思いますか?
考えて野球をやることの楽しさ、あるいは野球の難しさを考える環境に生徒たちを置いていないからだと思います。指導者に2年半でチームとしても選手としても結果を出させたいという思いがあるからですよね。
大学にもよりますけど選手たちの自由度が増しますし、指導者やスタッフが潤沢ではないところもありますよね。そうやって自分たちでやらざるを得ない状況になって、そこで初めて練習メニューを考えるとか、練習方法を考えるとかになった時、「自分たちで考えるのって面白いな」って気付くと思うんですよね。
自分でしっかり考える習慣とか考える力というものは、野球に限らず、その後の人生において要らないわけがないんです。ですからそういう経験は高校時代からどんどんさせてあげたいと思っています。
逆に大学、社会人になって使わないことは教えたくないですね。野球界でしか通用しない挨拶とかに代表される「野球界の常識、社会の非常識」みたいなことは一切教えたくないです。世の中でそのまま使える、社会に出たらそのまま使えるよということはちょっとでも早く教えるべきだと思います。その一つが「自分で考える」ということだと思います。そういうことを高校という早い段階で教えてあげないことは、すごく罪深いことだと思いますね。


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