「快適に練習できる環境づくり」だけではなく
マネージャーに対し「ただのお手伝いのような立場ではなく、野球部が強くなるための取り組みに深く関われるようにしたい」という中野監督は、データ入力以外にも従来の枠を越えた様々な場面でマネージャーに協力を求めている。選手をサポートする仕事に関心を持ち野球部に入ったという松本珠実マネージャー(2年)は、求められることが増えていく中でマネージャーの意識も変わってきたと話す。
「選手が快適に練習するためのサポートは当たり前で、プラスアルファで何ができるかを考えるようになりました」
最近ではグループに分かれて行うミーティングに4人のマネージャーが立ち会い、そこで出た反省点などをまとめる役割を担うようになった。「その日の夜までにグループチャットに送り、選手たちに振り返ってもらう」というルールを自らつくったのだという。
理数コースの野球好きな生徒を「データ分析担当」候補にスカウト
そして、城南高校野球部の最も新しい取り組みが、プレーヤー出身ではないデータ分析担当者の育成だ。分析関連の役割は、ベンチ外の選手などが務めるケースが多いが「プレーがしたくて選手になった生徒に、分析を担当してもらわずともよい仕組みをつくりたい」「プレーはできないが野球に関わりたいと思っている生徒に門戸を開きたい」という思いから生まれたプランで、理数コースのクラスで担任を務める藤上部長が、受け持っているクラスで野球に強い興味を持っていた納富太規君をスカウトしスタートした。「最初はびっくりしました。野球に興味を持ったのが中学生のときで、そこからプレーヤーになるのは少し敷居が高かった。でも、プロ野球は毎日観るくらい好きで、研究してみたいと思っていました。だから、参加させてもらえるのであればぜひ、と」(納富君)
ピッチャーが投げる変化球の動き方に興味を持っていることから、「相手投手の投げるボールの分析に取り組みたい」と話す納富君。中野監督らは「まだ始まったばかりで、プレッシャーをかけてはいけないけれど」と前置きしつつも、将来的には試合前の分析だけではなく、ベンチに入り試合中にリアルタイムで対策を立てられる、プロ野球のスコアラーのようなスタイルも考えていると話す。
まさに城南高校野球部が標榜する〈NEXT BASEBALL〉を体現する、夢のある取り組みである。
次回「中野雄斗監督・堀江亮太主将・荻野凌大投手インタビュー」に続く
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