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【福岡県立城南】中野雄斗監督・堀江亮太主将・荻野凌大投手インタビュー

2020.12.6

福岡県立城南高校野球部で指導する中野雄斗監督、外野を守る堀江亮太主将、そして荻野凌大投手に話を聞いた。


「自分が知っている野球だけに、選手を閉じ込めたくない」(中野雄斗監督)

リポート前編→ “自主練重視”主義と測定データや最新情報の積極提供
リポート後編→トレーナー・マネージャー・実習助手・分析担当ら選手を支える組織の強化


中野雄斗監督は就任2年目。
——これまでの経歴を教えてください。

中野監督:選手としては福岡大学野球部で遊撃手としてプレーしていました。卒業後に教師となり、八女高校でコーチを2年、次に大牟田北高校で監督を4年務めました。2019年から城南高校に配属され、監督となって2年目です。高校野球の指導者になることは教師になった大きな理由でしたので、「もし指導者になったらどんな指導をしようか」というのは、長い間考えてきていました。

——その考えについてお聞かせください。

中野監督:自分の選手だった時代を振り返ると、腹の底で野球が大好きなのは間違いなかったのですが、日々の練習を常に前向きに取り組めていたかというと、そうではなかったと思ったんです。好きな野球なのになんだかつまらない。正直なところ、そんな感情を抱くこともありました。「好きなのに、やる気が出ない」ってなんなのだろうと。

——確かに不思議です。

中野監督:その理由を考えて、「好きだから楽しい」に変えていこうと思いました。考えていくうちに見えてきたのが「指導が合理的」「うまくいかないときには、その理由を教えてもらえる」「指導者としっかり話すことができる」「自分の練習をする時間がある」「たくさんのインプット(情報)がある」「こうなりたいという姿を自分で設定できる」「自分で決定できる」「チームの居心地がいい」といったことでした。これらは前任の大牟田北高校時代に整理したもので、城南高校での指導でもこのあたりを大事にしています。

——日々の練習ではどんなところを見ているのですか?

中野監督:基本的にはリーダーたちが意識高く引っ張ってくれているので、自分は少し離れたところから見るようにしています。実は熱くなりやすいほうなので、グラウンドの中に入るとつい教え込んでしまうんです。そうなると見えなくなってしまうものもあるので、できるだけ離れたところにいようとしています。リーダーたちが引っ張り切れない、少し意識が下がってしまっている選手がいないかを見ている感じです。もしいたら声をかけていきます。

——近年は他校の視察にもよく行かれているようですね。

中野監督:2019年の2月に広島の武田高校、今年(2020年)の2月には神奈川の立花学園と東京の小山台高校にうかがいました。武田高校は選手を成長させるノウハウを、立花学園は最新のテクノロジーや使った指導やSNSの活用方法などについて聞かせていただきたく思ったからです。小山台高校は短い練習時間で成果を上げておられたので、それを学ばせてもらいたいと思いうかがいました。

——もともと、様々な理論や指導法を学ぶことには興味があるほうだったのですか?

中野監督:そうですね。技術書などが好きでよく読むタイプの選手でした。今もその感覚で情報を集めている感じです。専門家の方々が運営しているオンラインサロンなどは質問も受け付けてくれるので非常に助かっています。プロレベルの技術の話もあるのですが、高校野球でも生かせる部分がないかを考えながら、耳を傾けています。

——そうしたところで学んだ内容を選手に伝える際、注意していることはありますか?

中野監督:自分たちは必要以上の取捨選択をせず、まずは選手たちに見せてみることが多いです。多くの情報を渡すことで「選手たちが迷うのではないか?」という考え方もあると思います。ただ、僕が知っている野球に子供たちを閉じ込めるのは違うのではないかという思いのほうが強いです。そのかわり選手から目を離さないようにはしています。日頃から撮るようにしている連続写真などを見ながら、フォームなどが大きく変わっているようなことがあれば、どういう考えに基づいて変えたのかを聞く。そうすることでトラブルにならないように努めています。


「好きな野球を、楽しいと思えるものにするには?」という問いへの答えを考え続ける中野監督。


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