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高校球児は東大めざせ!? 東大前監督に聞いた受験アドバイス(後編)

2020.7.8

東京大学(以下東大)野球部の前監督で、学習塾の経営者としても長年受験指導に取り組まれてきた浜田一志さんのインタビュー。前編では東大野球部、そこでプレーする選手の特徴、浜田さん自身の経験などをお伝えしましたが、後編では大学で野球をやることの意義、現役の高校球児への具体的な受験アドバイスなどについてお届けします。


「得意な教科」があれば見込みあり!

インタビュー前編はこちら

――受験勉強の問題には必ず答えがあり、そのための戦略は立てられるということですが、浜田さんの本業の塾でもやはりそういった話はされますか?

浜田「そうですね。大体夏休みの時期くらいから戦略を立てていきます。その子にとってどの教科が点数を取りやすいのか、伸びる余地があるのか、捨てた方が良い教科もあるのか。そういったことは高校受験でも大学受験でも、また狙う学校のレベルを問わずやることです」

――得意な部分を伸ばすことや、苦手な部分をどうするかといったことは野球のプレーにも当てはまりそうですね。

浜田「高校生の場合、まず自分自身のことがよく分かっていないことが多いです。他人から見て自分がどういう選手かというのをまず理解する方がいいですね。大体そういうところが指導者ともずれていて、『監督が分かってくれない』みたいなことを言うことに繋がりやすいです。だからまずはその選手の長所を指導者と本人がすり合わせすることが大事じゃないですかね」

――短所ではなく長所ですね。

浜田「そこが野球でも勉強でもポイントだと思います。受験勉強の場合、まずは机に向かっていて一番苦にならない教科が何なのかを知ることですね。勉強をあまりしてこなかった子の場合はまずは教科書を読んで理解できるものでいいと思います。何が書いてあるか分からないようなものは取っ掛かりとしても厳しいですから。そうやって得意なものができてくると、その勉強については努力を努力じゃないと感じるようになります。これができたら見込みが見えてきます」

――監督ご自身はその教科が数学だったんですね。

浜田「そうですね。自分の場合は数学と国語で偏差値も倍くらい違いました。それでも最終的には国語もある程度引き上げることができました。一つ得意なものができると、苦手を克服しようというモチベーションも上がってくるんですね。国語も100点満点中30点では厳しいけど、60点取れれば数学でカバーできるな、とか考えられるようになります。そういう意味では自分の武器を作ることは大きいですね」

――例えば、あまり勉強してこなかったが野球部員が、3年生の8月から全力で勉強に向かうとなっても、ある程度は見込みが立つものですか?

浜田「よく勉強を全くしてこなかったということを言う子がいますけど、少なくとも授業は受けているわけです。授業も全くやっていないという野球の専門学校みたいな子も中にはいますけど。ただ、どういうケースにしても、まずは遅れているのであればそれがどの程度遅れていて、取り返すためにどれくらいの勉強が必要かを出してやることが大事だと思います。
学校は大体年間200日で授業は6時間があるわけですから、1年で1200時間ある計算になります。それが2年間丸々遅れていると2400時間。それを取り戻すためには1日12時間勉強して200日の計算になります。学校の授業って受験に必要のない家庭科や音楽も含まれているからもう少し少なくてもいいですよね。2年間全く何もやっていないということはあまりないですから、半分くらい遅れているなら授業以外で1日8時間くらい勉強すれば取り返せる。
そうやって考えていくと、できそうな気がしてきますよね。それを大人が伝えてやることが大事ですね」

――自分も経験がありますが、集中して勉強していくと点数は上がっていきますが、ある程度で止まるタイミングが来ますよね。そういう時の対策とかはありますか?

浜田「頭打ちになるタイミングは必ず来ます。そうなった時は周りの応援が大事なんですね。それも本人が一目置いているような人から言われるのが一番効果があります。高校生の場合は先輩ですね。尊敬しているような先輩のいる大学に行きたい時なんかは、その先輩から一言体験談とかを話してもらうと良いと思います。よく分かっている指導者はそういうタイミングで先輩を呼んだりしていますね」


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