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ゴールは今じゃない!「補欠のミカタ ~野球部補欠会議2020」レポート(後編)

2020.2.6

野球部の補欠部員にスポットライトを当てたイベント、『補欠のミカタ ~野球部補欠会議2020』。前編では元プロ野球選手2名を含む4人のパネラーの経験をお届けしましたが、後編では近年行われることが増えているベンチ入りできなかった3年生による「ラストゲーム」について紹介します。


第二部で登壇したのは山梨県内でしのぎを削る吉田洸二監督(山梨学院)と稲元智監督(帝京三)。この二校は今回のイベントを主催している一般社団法人応援プロジェクトの塩見直樹さんの呼びかけで、2018年にラストゲームを行い、その様子は地元のテレビ局でも大きく取り上げられて話題となりました。吉田監督、稲元監督はラストゲームを行う意義を以下のように語ってくれました。



吉田監督(山梨学院)

私は九州で監督をしていて関東に来たので、色んな人から「関東には悪い人がいるから騙されないようにね」と言われていました。それで最初塩見さんがうちに来られた時には、これがそういう人かなと思ったのを覚えています(笑)。ただ話を聞いていくうちに情熱に負けて、稲元監督とやりましょうという話になりました。以前もこういう試合をやっていたのですけど、イベントの専門家の人が入るとこんなにも雰囲気が違うのかと圧倒されましたね。
三池工業と東海大相模で甲子園優勝監督になられた原貢さんが「甲子園に強く行きたい」と思う“人数”が多いチームが優勝すると仰っていたんですね。選手の数ではなくて“人数”なんですよ。それは当然ベンチに入れなかった選手もそうですし、選手の保護者の方も含まれます。そうやってチーム全体が一体感を持つ意味でもやって良かったと思いますね。



稲元監督(帝京三)

最初は吉田監督に声をかけていただいて、自分だけでは決められないので校長にも相談して塩見さんに学校まで来てもらいました。それで実際に話を聞いて、やってみようということになりました。
テレビで取り上げていただいた年は、10年ぶりに夏の山梨大会の決勝まで行ったんですね。そこで山梨学院さんとまたやることができた。ラストゲームをやったことによって、メンバーの選手もベンチ外の選手も一体感が出たんだと思います。
自分は帝京出身なのですが、高校時代は3年生の春先になるとメンバー外の選手は野球はもういいから勉強しろと言われていたんですね。自分もあまり控えの選手に対して気遣うような気持ちはなかったと思います。ただこのようなラストゲームを行うことで、チームが一つになるんだなと勉強させてもらいました。


塩見直樹さん(一般社団法人応援プロジェクト)

自分はもともと教員で野球の指導にもかかわっていました。このラストゲームをやりたいと思ったきっかけは2011年の東日本大震災なんですね。被災地を元気づけようと思って回ったら、逆に一生懸命野球をしている子たちに元気づけられました。
吉田監督も仰っていましたが最初は形もなくて怪しまれたんですけど(笑)、2018年にテレビにも取り上げていただいて形ができて、2019年は自然とやりましょうという流れになった。他にも国学院久我山と実践学園などから話が来ています。
こういう試合をやることで、高校野球を終わった後に良かったと思ってくれる選手が少しでも増えてくれるといいなと思っています。今後もぜひ続けていきたいですね。


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