企画

東都準硬式野球連盟の東南アジア野球指導者養成プログラムを追う

2019.11.27

「日本の野球を海外に伝え続けたい」という思いで始まった、この野球指導者養成プログラム。今年で4年目を迎える活動を紹介する。


日本の野球を海外に伝えよう

日本が甲子園一色となる8月、今年で4年目を迎えた東都大学準硬式野球連盟主催の東南アジアプロジェクトがインドネシア・ジャカルタで行われた。初年度の2016年はインドネシア1カ国から始まり、年を重ねるごとに参加国が増え、今年の参加国は6カ国約30名(日本、インドネシア、フィリピン、スリランカ、ベトナム、ブルネイ)。各国の代表選手と指導者を対象に日本式の野球指導プログラムをレクチャーした。



このプログラムの目的は「高校野球を経験した人々が野球を通じて(野球をツールとして)日本だけでなく、海外の人々と交流を図る」日本の野球がモデルとなって、他国の野球が発展する一助になれば、という想いのもとスタートした活動である。

プログラムの内容はトレーナーによる動的ストレッチなどを入れたウォームアップから始まり、守備、打撃、走塁をみっちり1日かけて練習。夜は野球に通ずる最先端のトレーニング理論を座学で学んだ。そんなハードスケジュールは約1週間続き、各国の野球人が野球を通じて必死にコミュニケーションを図っていたのが印象的だった。





東都大学準硬式野球連盟選抜チームの監督であり、高校時代には夏の甲子園優勝も果たした経験のある杉山智広さんは「各国の選手たち、指導者たちの教わる姿勢に感銘を受けた。間違っている動作があったらすぐに教えて欲しい、と積極的に学ぼうという姿勢を強く感じ、野球をツールにお互いが本気でコミュニケーションを図って人間関係を構築できた。また、大切にしている「教える側本位のものではなく、参加者に寄り添う内容にすること』、『教えっぱなし、やりっぱなし、一度きりの交流にせず、継続し共に成長していくこと』というコンセプトをしっかりと意識して、今後も継続していきたい」と活動の手応えを語ってくれた。



日本から参加した法政大学2年・岡村健司さんは「海外の選手団の学ぼうとする姿勢がすごかった。指導者が伝えたいことがしっかりと伝わっているのを見て、学ぼうとする意欲がすごく重要だと改めて感じた。育った国や年齢が違っても野球は万国共通。野球をして、楽しんで、一つになってプロジェクトを成功させようという意気込みを強く感じた」と充実した活動を振り返った。

11月にはバリ、フィリピンへ再び渡り現地の子供たちと触れ合う活動を続ける予定だ。こうした活動が今後も多くの球児の目に留まり野球を通して海外の人たちと交流をしたいという人が増えれば、活動の意義がさらに増すだろう。





日本から参加した指導者・選手

〈監督〉杉山智広(日大三—日本大学OB)
〈コーチ〉浅野修平(県立新屋—帝京大学OB)
〈トレーナー〉笛田翼(成田ー帝京大学4年)
〈総務〉杉原滉斗(広陵ー東洋大学4年)
〈選手〉
西田響(都立青梅総合—日本体育大学3年)
小嶋大輝(石岡第一—東京農業大学3年)
岡村健司(東京都市大学付属—法政大学2年)
増井優(埼玉平成—日本体育大学3年)
川崎悠太(つくば国際大学東風—学習院大学3年)
島田佳宜(熊本北—日本体育大学3年)
井上颯太(早稲田佐賀—法政大学3年)
長堀巧(麗澤—獨協大学2年)

(取材・写真:Timely!編集部)


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