そんな闘志を常に燃やしながらも、内山は滅多に感情を表に出さない。ピンチを抑えた時も、ホームランを打った時も。奥川と山瀬はピンチを抑えれば、ベンチに戻る時に必ずハイタッチをしていたが、この秋からマスクを被るようになった内山は、ピンチを切り抜けてもピッチャーとは全くそういうアクションすらしない。だが、これも内山のスタイルなのだ。クールかつ内に秘めた闘志をエネルギーにして、この秋も不動の北陸王者となった。
「自分が活躍するかで、チームが勝ち進んでいくかが決まると思います。夏までのチームも一番経験のあった奥川さんが活躍してあそこまで勝ち進めたし、夏の甲子園で準優勝できた。打つ方は内容も大事ですが、結果にはこだわっていきたいです」。
試合中は常にチームのことを考え、時には自分のことを犠牲にする時もあるが、練習では、グラウンドに立てば自分が先頭に立つと言わんばかりに常に大きな声を出す。特に試合前日は不安な時ほど気が済むまでバットを振り続けてきた。「やれることはやって試合に臨んできた」(本人)とチームの柱が自負してきたからこそ、星稜の進撃は続いている。北信越大会で優勝したことでチームは3年連続のセンバツ出場が有力視されているが、同時に内山も4度目の甲子園出場もほぼ手中におさめている。だが、その瞬間も内山の表情はやはりクールなままだった。
「今度こそ日本一になりたいんです」。その言葉を胸に、まずは明治神宮大会、そして来春センバツと、奥川、山瀬らですら果たせなかった悲願へ、チーム一丸となって突き進む。(文・写真:沢井史)
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