学校・チーム

【昌平】野村ID野球の申し子が、創部初の甲子園出場を目指す(前編)

2019.4.18

埼玉県には一昨年の夏に全国制覇を成し遂げた花咲徳栄を筆頭に、甲子園常連校である浦和学院や、今春のセンバツに出場した春日部共栄など歴史のある強豪私学が多い。その中で近年頭角を現しているのが昌平だ。昨夏は春日部共栄を破り、見事ベスト4にも進出。チームを指揮する黒坂洋介監督に話を伺った。


社会人時代に書いた“野村ノート”がバイブル

桜の木が綺麗な花を咲かせる4月上旬。校舎からほど近い宮代総合運動公園のグラウンドでは春休みに行われた関西遠征から帰ってきた選手たちが黙々と練習を行っていた。チームを率いるのは同校のOBであり、駒澤大学、シダックスで活躍した黒坂監督。大学時代は同学年の高橋尚成氏(元・巨人)や、一学年下の新井貴浩氏(元・広島)など錚々たる面々と汗を流した球歴を持つ。

「当時の東都リーグには専修大学に黒田博樹さん(元・広島)、青山学院に井口資仁さん(ロッテ監督)など凄い選手ばかり。僕も最初は投手で勝負しようと思っていたのですが試合に出ることはできませんでした。ですので、2年秋に自らの意思で勝手に外野手に転向しました。そこですぐさま結果を残したのが良かったんでしょうね。社会人でも野球を続けることができて、2003年からはあの野村克也監督から指導を受けることになりました」。

チームを指揮する黒坂洋介監督。社会人野球のシダックスで野村克也監督の薫陶を受けた。

ID野球と称される緻密な野球論をミーティングで頭に叩き込む毎日。プロ野球の世界で長年活躍した野村監督の教えは、今でも黒坂監督のバイブルになっている。選手として晩年を迎えていたこともあり、ベンチでは野村監督の横に立ち配球チャートを記し、代名詞ともいえる“ボヤキ”に耳を立てた。

「ミーティングで書いたノートは基本的には現役引退と同時に回収されるのですが、母校の監督に就任する際に『指導をする上でぜひノートを使わせてください!』と野村監督にお願いをすると快く承諾してもらいました。野球だけではなく、『組織の在り方』や『成功哲学』、さらに女性とは、本当のバカとは、感性とは……などが記された『雑学』など。興味深いことばかり書かれたバイブルは、ミーティングや指導において今でも大事に使わせていただいています」。

野村監督の野球論が凝縮された大切なノート


PICK UP!

新着情報