学校・チーム

【東福岡】強豪復活を期す、東福岡の練習メニュー

2018.11.2

選手に求める「1球への集中力」、「根拠のない1球はいらない」

幻想的な夕焼けの中でノックを受ける選手たち

下野監督が目指しているのは「自主・自立」のチーム作りだ。最近の高校野球で頻繁に使われる言葉だが、下野監督も「考えさせる野球」で、技術を教えすぎない指導を心がけている。
その典型的なシーンがあった。ゲームノック中、選手だけを集めて課題を指摘し合う場面があった。中継~バックホームの流れの中で気付いた点を、捕手全員が発言していったのだ。

「中継プレーのときにラインを崩さない」
「カットする選手は早めについてほしい。そうじゃないと投げる方が投げにくい」
「声を掛け合ってコミュニケーションをもっと強くとろう」

選手の間で、そんな意見が交わされた。

「試合で起こることへの準備をしているわけだから。1球に集中して。もっと声を出そう」。下野監督が実戦練習にこだわる理由。それは、試合で起こる、1球の大切さ、怖さを知っているからだ。「社会人野球時代、都市対抗を目指すトーナメント戦で30,40代の大人が涙を流すほどの真剣勝負を経験してきました。日ごろの準備が明暗を分けます。投手には特に、『根拠のない1球はいらない』と言い聞かせています」と話す。

下級生チームを担当する伊藤広コーチ

今年の夏は、第100回記念大会で福岡大会が南北に分かれ、2校が甲子園に出場できるチャンスだった。しかし東福岡は準々決勝・沖学園戦でシーソーゲームの末、1点差で敗れた。7回表、打撃妨害で進めた走者をワンチャンスで逆転につなげた沖学園の集中力が上回った。ほとんどの選手が「あのときもっとああしておけば…」で終わるのが高校野球。下野監督も最後の夏は準々決勝で福岡工に敗れ、甲子園に行けなかった。だからこそ、最善の準備にこだわっている。

「昨年の現役大学合格率93.1%と、進学に力を入れている東福岡なので、野球部も大学で活躍している選手が多いんです。甲子園に行けなくても、野球を続けて、活躍してくれていることはうれしいですね。ただ、高校野球をやるなら貪欲に甲子園を目指して欲しい。僕自身も甲子園に出て、その素晴らしさを体験できたし、人生観が変わりましたからね」。
 
取材に訪れた日、引退した3年生の多くが自主練習をしにグラウンドに現れ、汗を流していた。大学野球での活躍に向けて次の目標に向かっているのだ。自主自立の考えと、最善の準備。東福岡の野球は、こうやって高校野球から上のステージへとつながっていく。


PICK UP!

新着情報