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【元プロが教える野球教室 #1】「OAKS BASEBALL CLUB」野口寿浩氏(元ヤクルト/日本ハムほか)

2015.6.30
生存競争の厳しいプロ野球の世界で21年間、キャッチャーという過酷なポジションを務めた野口寿浩さん。いま、野口さんは世田谷、習志野で「オークス野球教室」を開校し、幼稚園児から中学生まで、子ども達に野球を教えています。プロで培った経験、知識を子ども達にどのように教えているのか?また、野口さんの少年時代、現役時代の話まで伺いました。


「技術的に怒ることは絶対にしません。できないから来ているんですから」

――オークスでの指導は何年目になりますか?
野口 引退してすぐに始めたので5年目になりますね。最初に教えた子たちが、この春から中学生になりました。低学年から見てきた子たちなので感慨深いものがありますね。

――指導方針や教える上で大切にしている信条は?
野口 技術的には中学で野球部に入っても困らないように、レギュラー争いの勝負に入っていけるようにさせてあげたいと思っています。あとは、言葉づかいや挨拶はしっかりできるようにしたいと思っています。

――ご自身のころと比べて、最近の小・中学生を見て感じることは何かありますか?
野口 体の大きさは今の子のほうが大きいでしょうね。でも、体も含めて、弱い子が多い印象です。ちょっと頼りないというか。例えば、がつんと怒ると、しゅんとなって次から来なくなったりとか。そういう子が多いですね。だから、あまり強く言えないですね(笑)。

――どんなときに怒るんですか?
野口 技術的なことで怒ることは絶対にしません。できないから来ているんですから。ただ、話を聞いていないとか、そういうことに対しては怒ります。



――練習はどういった内容ですか?
野口 低学年は1時間。高学年は1時間半の練習時間です。低学年の子は、とにかく野球に慣れること。投げられる、捕れる、打てる。そういうことをちゃんとできるようにする。高学年は、ポジション争いになったときに勝負できるようにと考えています。

――まったくの初心者、キャッチボールができない子たちも参加できますか?
野口 そういう子のほうが多いですよ。とくに、駒沢校のほうではオークスをとっかかりにして野球を始める子が多いです。だから、ボールが飛んできてもよける子とかいますよ。

――ボールをよけるような子に対しては、どのように教えるんですか?
野口 下から軽く投げて捕らせて、少しずつ距離を伸ばしていきます。それでも最初は捕れないですけどね。グローブを出して、捕ろうとはし始めます。あとは慣れの問題ですね。

――1クラスは何人ぐらいですか?
野口 低学年が16、17人ぐらい。高学年のクラスが10人ぐらいで教えています。それぐらいが目の届く最大の人数だと思います。指導者は3人で見ているんですけど、安全面上、これ以上増えてもよくないかなと思います。

――最近は女子のプロ野球もできましたが、女の子の入団もOKですか?
野口 OKですよ。そこに制限はありません。習志野校では実際に女の子にも教えていました。今通っている子のお姉ちゃんなんです。小学生だと女の子のほうが投げられるんですよね。ちょっとコツをつかめばびゅんびゅん投げます。バットスイングも速いんですよね。

――遠くから通っている子もいますか?
野口 遠くから通ってくれてもいいんですけど、どうしても(練習場である駒沢、習志野に)近い子が多くなりますよね。遠くからでもウェルカムですよ。



「自分でボーダーラインを決めている子が多い」

――現役のころから、指導したいという思いはあったんですか?
野口 指導する方面にいきたいなと思っていました。ベストはプロ野球の指導者かなと思っていましたけど、どこかで教えたいなと思っていましたね。当時は、まだ高校野球は教えられなかったですけど。今は資格を回復して、千葉の学校(流山南高校)でも非常勤で教えています。

――先ほど最近の子は弱いともおっしゃっていましたが、高校生にも同じようなことを感じますか?
野口 体は大きいですよね。びっくりするぐらい大きい子がいますから。体に関しては問題ないです。でも、やっぱりハートが弱い子が多いです。弱いというか、自分でボーダーラインを決めている子が多いです。「自分はここまでしかできない」とか決めちゃっている。変なところで、変な意味で頑固なんです。そういう子が多い気がします。

――現役時代、野村克也さんの下でプレーされましたが、野村さんのミーティングでの話などを、子どもたち(高校生)にすることはありますか?
野口 精神的なものよりも、夏の大会が近いですから技術的なことを教えるほうが多いので、あまりそういった話はしないですね。新チームになって、精神面の話などをするのはいいかもしれないですね。高校野球生活が終わったときに悔いを残さないように。

――最近「高校野球で球数制限を」といった声も聞かれますが、そのことに関してどう思われますか?
野口 子どものころの投げ過ぎは注意すべきと思います。子どものときの障害は残ると言いますし、大人が止めてあげないといけないでしょう。あとは変な投げ方、故障する投げ方。これも注意しないといけない。
ただ、高校生に関しては、最後の夏が絡んでくると球数制限やタイブレークは反対です。いいようにやらせてあげればいいじゃないと思います。センバツはまだいいと思いますけどね。



「言葉選びは慎重になります。理解できるような言葉を使わないといけない」

――投げ方の話もありましたが、そういった注意もされるんですか?
野口 見ていて故障しそうな投げ方の子もいますから。そういう子にはちゃんと教えます。もともと投げる動作は人間の動きの理にかなっていない動きなので。もともとよくないのに、さらに痛めそうな投げ方をしていたら注意をしますよ。長続きさせられそうな投げ方はありますから。

――しっかり説明することも大切ですよね
野口 打ち方でも、インサイドアウトがいいと言うけど、なんで内側から出さないといけないのか、そこから教えないといけないでしょう。内側から出せと言うだけではいけませんよね。だから、言葉選びは慎重になります。理解できるような言葉を使わないといけない。ちょっとずつ、ひとつずつでも理解してくれればと思っています。できる、できないは個人差がありますけど、大事なのは言われたことを覚えているかどうか。
あとは、自分からできる子は伸びるということ。義務感にかられたら伸びませんから。

――子どものころに受けた指導で、今でも覚えていることはありますか?
野口 キャッチャーのこともそうですけど、バッティングもあまり細かく教えてもらったことはないです。小学生の頃、どうしても上からボールを投げられなかったんです。サイドスローになってしまう。あるコーチに「なんとか上から投げられるようにしよう」と言われて、根気よく練習に付き合ってもらいました。そのことはよく覚えています。
それと、子どもたちとやるときは楽しくやることも大事ですよね。学生コーチもいるんですけど、彼らと練習するときはちょっとはふざけても、遊んでもいいよと言っています。もちろん、安全面などは注意しますけど。オークスでは、技術を教える、恐いコーチが僕。技術を教える、やさしいコーチが和田(孝志)さん(元ロッテ)。学生コーチはそういったことのフォローです。そういう体制でやっています。

――最後に親御さんに向けて、一言お願いします
野口 僕が小さい頃、父は暇になるとキャッチボールとかしてくれたんですよ。そういう機会を、お子さんと是非もってほしいですね。遊びでいいから、そういう機会をもってほしいです。僕は嬉しかったですし、多少なりとも身にもなりましたし。最近は(キャッチボールできる)場所がなかなかないないという問題もありますけど、子ども達に野球ができる機会を与えてほしいなと思います。



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「OAKS BASEBALL CLUB」
野球を通して子供達の向上心(目標に向かって努力をする心)や協調性(仲間と協力する心)を育むことを大切にした野球教室。また、プロ野球で活躍した野口寿浩氏(元ヤクルト、日本ハム、阪神、横浜)がヘッドコーチ、和田孝志氏(元ロッテ)がコーチを務め、本物の野球理論・技術に基づいた質の高い指導を行う、これまでにないタイプの野球教室です。



【主な活動場所】
 駒沢公園軟式野球場習志野市中央公園軟式野球場
【ホームページ】
http://baseball-oaks.sakura.ne.jp
【問い合わせ】
電話:09010420519
Mail:oaks.b.d@docomo.ne.jp


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