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【検見川】激戦区千葉で躍進続ける「日本で一番試合に出られる野球部」(前篇)

2017.11.17

激戦区千葉でメキメキと頭角を現している検見川高校野球部の部員たち

全国でも屈指の激戦区千葉でメキメキと頭角を現している公立高校がある。それが千葉県立検見川高校だ。都内の有名私立大学にも多くの合格者を輩出している進学校であり、入学するのも当然簡単ではない。また、グラウンドも専用の野球場があるわけではなく、環境についてはいわゆる普通の公立高校である。そんな検見川高校が躍進している要因を探った。


2013年の秋季県大会ではベスト8に進出し、千葉県の21世紀枠推薦校にも選ばれている検見川高校。その躍進が加速したのが昨年の秋からである。準々決勝で優勝した中央学院を相手に0対1と接戦を演じると、今年の春はベスト4に進出。Aシードで臨んだ今夏の千葉大会でも千葉黎明、市立柏などの実力校を破り春夏連続のベスト4という見事な結果を残した。

その検見川を指導するのが昨年秋に就任した酒井光雄監督だ。市立船橋、日本体育大学でプレーした経験を持つが、そんな酒井監督が重視していることが、とにかく実戦経験を多く積ませることだという。。

「普段の実戦的な練習はどうしてもレギュラーの上級生が中心になりますが、1年生でも5月から全員練習試合に出場してもらうようにしています。とにかく試合を多く組んで、相手校さんにもお願いしてなるべく1日で3試合やるようにしています。多い時はお昼の間にも5回までお願いして3.5試合という日もありますね。だからうちは日本で一番試合に出られる野球部かもしれませんね(笑)」

検見川高校野球部を率いる酒井光雄監督
検見川高校野球部を率いる酒井光雄監督

少し笑いながらそう語る酒井監督だが、そのように考えるようになった背景には練習施設の問題ともう一つの理由があるのだという。

「うちは見ての通り普通の公立高校なのでグラウンドも他の部活動と併用です。だから外野まで使って実戦的な練習ができる時間が限られているので、実戦についてはとにかく試合で覚えようということでやっています。それに選手も試合でできなかったことに対しての方が悔しいと感じて次はできるようになりたいと思って、練習に取り組む意欲が変わってくるんですね。自分の課題も試合で見えてくることが多いです。

そう考えるようになったのはここに赴任する前にいた特別支援学校で、耳が不自由な生徒に野球を教えていた経験があったからだと思います。彼らは音が聞こえない分、とにかく必死に目で情報を集めようとするんですね。指示するジェスチャーも自然と大きくなりますし、また野球に対して純粋で凄く楽しんでいるように見えました。

ハンデがある生徒達がこれだけ一生懸命楽しそうにやっているのに、何の不自由もない自分たちはもっとできる方法はあるだろうと考えましたね。そうするとやっぱり試合で上手くできるようになりたいと強く思えるようにすることが一番だと考えて、全員が試合に出られるようにしました」

実際に公式戦でも数多くの選手を起用しながら勝ち進んでおり、本当の意味での『全員野球』が検見川の強みになっていることは間違いない。しかし、ただ闇雲に試合を多く行うだけで結果が残せるほど野球は簡単なものではない。強豪私立と渡り合うためにもちろんあらゆる取り組みを行っている。

「強豪校と比べるとまず体が細いので、食べることはとにかく気をつけています。今日は少し練習を早く切り上げないといけないので用意していませんが、普段はマネージャーがご飯を炊いて練習中に1合は食べるようにしています。

あとは正攻法だけでは勝てないので、よく自分は選手達に『なんちゃって野球』で勝つぞと言うんですが、他のチームがやらないようなプレーもやるようにしています。攻撃であればランナーが挟まれた時に相手の暴投を誘うような走塁とかも練習しますし、一塁ランナーのリードやスタートの切り方、戻り方も色んなバリエーションを持っています。守備の時もノーアウトやワンアウト二塁、三塁のピンチの場面でどうやってダブルプレーをとるかといったこともやっていますね。そういうプレーが上手くはまると相手チームも混乱しますし、こちらにとっては強いチーム相手にも通用したという自信になるんですよね」

このような取り組みが実っての躍進と言えるだろう。後編は実際の練習についてレポートします。

(取材・撮影:西尾典文)

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