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【高校野球コラム】スカウト注目の「九州最速右腕」大分・佐野。チームに徹する4番エースが初出場校として大会に旋風を巻き起こせるか

2014.8.13
 九州担当スカウトが高く評価する大分高校・佐野皓大投手は、1年生からメンバー入りし、2年の秋から4番でエース。春先から徐々に調子を上げ、見事大分高校を甲子園初出場に導いた。

投打の活躍でチームを引っ張る大分・佐野皓大投手

 春季九州大会の準々決勝・東福岡戦では自己最速の150キロを記録。「九州最速右腕」の称号を得た。しかし、その後は故障の影響もあり下半身の踏ん張りが効かない投球が続く。球速も130キロ後半にとどまる。それまでの佐野であれば、「自分だけしか見えない」性格が災いして、その後も球速を求めて投げこんでいってもおかしくはなかった。

 しかし、周りに騒がれても佐野は動じなかった。「チームのために」と練習試合でも故障を押して志願登板。球速を求めず、チームが勝つことに主眼を置くピッチングを繰り返した。

 5月31日の山口・美祢市民球場での防府商工(山口)との練習試合も、本調子ではなかったが、持ち前の「大きく踏み込んで、腕をふりやすくして投げる」意識は、徹底されていた。182cmの長身から、ホームベースに迫ってくるような力強さは圧巻。柔らかい腕の振りも兼ね備え、「前田健太(広島)の力強さに、唐川侑己(千葉ロッテ)の柔らかさを併せ持つ選手」とは、某球団スカウトの評価だ。

 投げる方に注目が行きがちだが、バッティングも見逃せない。先の練習試合でも、低めの球をしっかり振りぬいた三塁打を含め、2安打を放つ。走塁もスムーズな体重移動でバランスがいい。「走・攻・投」とセンスを感じさせる選手である。

 大分県大会では、5試合全てに登板し、2試合連続完封を含め、30回1/3無失点を記録。そこにはコーナーをついて、打たせてとるピッチングで、球速を求めずに、チームの勝利を優先する佐野の姿があった。明豊との決勝戦では9回ツーアウト無走者から2点差を追いつき同点。延長10回には自ら放った勝ち越しタイムリーが決勝点。投打の活躍で甲子園出場を決めた。

 甲子園では、「九州最速右腕」の佐野だけでなく、「走・攻」の活躍がチームの勝利を導くカギとなるだろう。


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