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【高校野球コラム】“最長ブランク”東海大四の不思議な巡り合わせ 福岡の強豪相手に21年前の再現なるか

2014.8.13
21年前に出場した際、東海大四は九州代表・東福岡高校に勝利。そして久々の全国大会の地、またしても九州代表と対戦することになった。


 「そんなに出ていないのか」と感じた高校野球ファンも多いはず。夏の甲子園出場49校中、最長ブランクとなる21年ぶり出場の東海大四(南北海道)。03年に体育コースが廃止され、05年秋には不祥事による大会中の出場辞退も経験、08年春には伏見寅威主将(現オリックス)を擁して全道王者となりながら09年春には立命館慶祥に5回コールド負けの屈辱、11年からはかつて旭川を拠点としていた東海大北海道野球部が札幌と統合されてグラウンドも大学と共用になった。OBでもある大脇英徳監督は21年前の主将・4番捕手の中心選手。東海大を経てNTT北海道、NTT東日本を経て00年から部長、04年から監督として次々に襲われる難局と対峙してきた。

 21年ぶりの夏、とはいえ決して低迷していた訳でもないし、復活という感覚もない。伝統の強力打線にこだわってきた訳でもない。かねてから豪快な攻撃野球にモロさが同居するなんとも言えない魅力ある東海大四が体育コースの廃止もあり、方向転換を迫られる現実の一方、皮肉にも伝統の強力打線に憧れる中学生も多く、目指す野球と集まる選手の特性がマッチせずどこか、ちぐはぐさがあったことは否めない。

 では21年ぶりの甲子園はなぜか。それは絶対的エース・西嶋亮太(3年)の存在に尽きる。1年夏から経験を重ね、マウンド上で強烈に自己主張をする。下級生の頃は好不調の波の大きさが課題とされたが最上級生になると課題の克服よりも、不調時でも抑え、勝てる投球を目指してチームをけん引、目立たないが西嶋に引っ張られるように控えの山口聖人、大澤志意也(2年)の成長もあった。

 この夏の甲子園には不思議な巡り合わせも感じる。当時のチームにも安井謙一(東海大からNTT北海道)という絶対的エースがいて、甲子園は雨天コールド、ノーゲーム、開始時刻変更など雨に翻弄された大会だった。今年は東海大系列校が過去最多の4校が出場、2月のソチ五輪ではOBでスキージャンプの葛西紀明選手が日本中を熱狂させるなど追い風要素もある。

 14日の初戦の相手はドラフト候補を擁する九州国際大付(福岡)。21年前も前田浩継(のちオリックス)を擁した東福岡と対戦し4対3で競り勝ち、勝利の輪の中心に大脇監督がいた。その再現を、と密かに闘志を燃やしているはずだ。


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