強力打線を武器にセンバツに続いてベスト4に進出した秀岳館。しかし、下馬評を覆し北海が集中打で中盤までに4点をリードする。7回、8回と秀岳館も粘りを見せて1点差まで追い上げたが、エース大西が踏ん張り北海が見事に決勝進出を決めた。
守備の要が大舞台で魅せた一瞬の判断
3試合で16得点と持ち味の攻撃力を武器に勝ち上がってきた秀岳館。一方の北海は大会前ノーマークのチームであり、秀岳館の絶対的有利が伝えられていた。
初回、秀岳館は先頭の松尾が三塁打、二番の原田が四球で無死一・三塁のチャンスを作る。続く三番木本の2球目、一塁ランナーがスタートを切る。しかし、北海の2年生捕手佐藤は迷うことなく二塁に素晴らしい送球で、ランナーを刺す。俊足ランナーが塁上に二人いる状況。ましてや先制点のランナーが三塁にいる場面での勇気ある判断が光った。そして続く3球目、大西の投球はワンバウンドで一塁側へそれてしまう。だが、佐藤は落ち着いた動作で処理し、ベースカバーに入った大西に正確なボールを送り、三塁ランナーをホームでタッチアウト。守備の要が二つのプレーでチームのピンチを消して見せた。その後、秀岳館はヒットが出ていただけに、この二つのプレーがなければ序盤に大量得点ということも十分に考えられただろう。
準決勝という大舞台、ましてや相手は優勝候補のチーム。しかし、そんな場面でも佐藤の落ち着いたプレーが輝いた。捕手に必要な素早い判断と、正確な送球が、創部116年目で初の決勝進出に繋がったに違いない。(文:西尾典文)