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【中村高校】躍進する公立高校、強さの秘訣にクローズアップ!

2017.2.21

中村高校野球部横山真哉監督と部員たち

「Timely!」No.42号掲載に先駆けて昨年12月に先行してオフトレーニングの様子を紹介した高知県立中村高校。
昨年秋、部員16人ながら決勝戦では明徳義塾を破り、40年ぶりとなる県大会優勝を果たすなど、少ない部員数、限られた練習時間でも見事に結果を残している理由はどこにあるのか?
40年ぶりの選抜甲子園出場を決めた中村高校の本誌掲載版の練習レポートをお届けします!


【強さの秘訣1】ハンデを全てプラスに

制限をハンデではなくプラスにとらえる。監督だけでなく選手全員がその意識で取り組めることが中村高校の強さである。練習でも指示待ちではなく、それぞれ考えて行動する姿が目についた。

環境の制限はハンデではない周囲の協力を得ながら取り組む

1977年のセンバツ、部員数わずか12人ながら山沖之彦投手(元阪急・オリックス・阪神)を擁し、初出場で準優勝という快挙を成し遂げた中村高校。近年は県大会でも上位に進出することは少なかったが、昨年8月に横山真哉監督が就任すると今年の春は県大会でベスト4、夏は準優勝と着実に結果を残し、秋は見事に40年ぶりの県大会優勝を成し遂げた。しかも、決勝戦を戦った相手は夏の高知県大会7連覇中で、昨年夏の甲子園でもベスト4に進出した明徳義塾高校。確かなチーム力がなければ勝てる相手ではない。それだけにこの優勝の価値は非常に大きい。

ところが中村高校に野球部専用の練習場はなく、グラウンドを使えるのは火曜日と木曜日だけ。土曜日も午前中は進学補習があり、近隣に高校も少ないため練習試合ができるのは日曜日だけという環境である。私立の強豪校と比べると、非常に制限が多いなかで練習に取り組んでいるが、横山監督はそれを決してハンデととらえていない。
「長くいろんな公立校でやってきましたから、制限があるのは当たり前だと思っています。部員が少ないのもグラウンドが使えないのも試合が少ないのもハンデだとは思っていません。部員が少なければ短い時間で一人が受けられるノックの数が増えますし、グラウンドが使えない日はトレーニング場でみっちりウエイトをやればいい。人数が少ないほうが保護者も含めてまとまりやすいということもあります。以前いた学校では80人くらい部員がいたこともありましたが、それはそれで大変ですよ」。

エースの北原野空くん

専門学校も含めて、約9割の生徒が進学するということもあり、平日の全体練習は3時間ほど。しかし、帰宅後は全員がそれぞれの勉強時間を確保したうえで、自分が決めた自主練習を徹底して行っている。
「帰宅する時間、勉強時間はそれぞれ違いますから、自主練は一律ではなく、各自で素振りの本数を決めるようにしています。そしてそれを絶対にやり切る。決めた本数できたら○、できなったら×で△はないんです。それが一日でもできない日があったらだめだということは言っています。高校野球は一発勝負で負けたら終わりですから、そういう細部にこだわって取り組んできたことが精神的な強さに繋がると思うんですよね。多い選手は1日1000本素振りするんですが、去年の冬から2月の時点で誰も×の選手がいなかった。その時点で甲子園も狙えるんじゃないかという予感はありましたね」。

自分がやると決めたことは必ずやり切る。そしてそれを習慣づける。言葉にすると簡単だが、それを徹底して継続することが何よりのメンタルトレーニングになるのだという。

そしてもう一つ強さの秘訣として挙げたのが、部員と監督だけでなく保護者やOB、地域を巻き込んで戦うということだ。

春の選抜に出場する中村高校野球部の選手たち

「部員も16人全員自宅から通っていますから、保護者の協力は必要不可欠です。大学を卒業してすぐに一度中村高校に赴任したのですが、そのときの選手が保護者になっていますし、OBや後援会の人も自分と繋がりがある人ばかり。そういう意味では、すごくやりやすいですし恵まれていると思います。保護者や地元を巻き込んで戦うことは明徳義塾にはできないことですから」。

前回のセンバツ出場時、横山監督は中学3年生だった。当時の盛り上がりは強烈なものとして残っているという。時代は変わり、環境は変わってもそれをハンデとはとらえずに決めたことに取り組む。その姿勢と覚悟が中村高校の強さの源と言えるだろう。(取材・文:西尾典文)


昨年4月、22年ぶりに母校に赴任した横山真哉監督。現役時代は中心選手として1年秋、2年秋と二年連続で四国大会に出場。長年の指導経験から、公立高校ならではの方法でチームを強化している。

中村高校(高知県)

●監督/横山真哉
●部長/山本泰道
●部員数/2年生10名、1年生6名、マネージャー4名




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