学校・チーム

【高校球児白書】知られざる四校連合チームの夏物語 第一章

2016.7.28

埼玉県内唯一の連合チーム

七月上旬、全国各地で夏の甲子園予選が続々と開幕し、今年も熱い戦いが繰り広げられている。今大会158チームが出場している埼玉県大会の中で唯一、連合チームとして出場しているのが部員数16名の四校連合である。その内訳は、上尾鷹の台高校3人、上尾橘高校5人、岩槻北陵高校3人、大宮商業高校5人。

高野連から五月下旬に連合チームとしての通達があり、大会までわずか一ヶ月半もない状況で結成されたチームである。だが、この四校は過去にも連合チームとして夏の甲子園予選に出場していることもあり、選手・指導者同士に他チームだから…といった垣根もなく、チームワークの良さが目立つ。


平日は個の力を伸ばし、休日はチーム力を上げる

今回四校連合の指揮を執ることになったのは上尾鷹の台高校の大谷豊監督。それぞれ学校が違う選手たちに果たしてどのような指導を行っているのか大会前の最後の休日練習のときに伺った。

「平日は各校で練習に取り組み、時間を多く割ける休日に連合チームとして合同練習をしています。土日のどちらかは他の高校と練習試合を組むようにしていますし、練習試合のないときはシートノックやバッティングなど、なるべく実践的なことを選手それぞれに経験させてあげたいと思い励んでいます」。

他の高校では当たり前のように行っているシートノック。彼らにとっては週一日あるかないか貴重な時間でチームワークを育んでいるのだ。では、授業がある平日はどのような練習を行っているのだろうか。

「平日は、チームプレーができない分、個の力を伸ばすような練習をしています。連合チームを組む学校によって選手たちはポジションも変わってきますので、なるべくどこでも守れるように各ポジションでノックを受けさせています」。

四校連合の指揮を執る上尾鷹の台高校の大谷監督


心身ともに成長できる環境がここにはある

授業が終わり、何十人が集まる当たり前のように思える環境はここにはない。しかし、このような練習は連合チームならではともいえる。そして、この環境は選手の精神面を大きく成長させてくれるものだと感じる。

「様々なポジションを守ることで、野球本来の楽しさを感じられるし、他者の気持ちも理解できるようになる。また、平日の練習では誰か一人が休んでしまうと、それだけで練習に大きなダメージを与えてしまう。だからこそ、選手たちは仲間の大切さを身を持って感じていると思います」。

部員人数が少ないがために練習メニューは限られてしまう。だが、恵まれていない環境だからこそ得られることも連合チームにはあるわけだ。

ティーバッティングと内野の連係プレーに分かれ練習に励む選手たち


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