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【少年野球指導者のひとり言】理由が説明できてこそ『理論』です

2016.8.2
「バットが下から出てるぞ!」「その守備は腰が高い」など、グラウンドでは指導者が技術的な指摘をする場面が多く見られます。どんな競技でもそうだと思いますが、技術を身につけると良い結果が出る確率が上がるので、技術を身につけることは重要です。だから、技術について語っている指導者は周囲から「野球に詳しい良い指導者」に見えます。

しかし、技術指導をする時に「●●●しなさい」と方法論だけを指示するのはそれほど難しくありません。たぶんある程度野球を見ていれば野球経験がなくてもできると思います。いや「できている気分」と言った方が正しいかもしれません。実際はそういう方法論だけの指導はほとんどの場合、選手は理解できていないからです。選手が理解できていなければ、それは「指導している」とは言えないのではないかと思います。

私は技術指導をする時、以下のような手順で指導します。

①技術指導したい選手のプレーを真似て実演する
②指導したい箇所を再度真似て、プレーの問題点を挙げる
③それが何故問題点なのか(結果が出ない理由や将来的な故障リスクなど)について詳しく説明する
④改善方法を提示し、現状との違いを交えて説明する
⑤改善することによる期待効果を説明する

なぜここまで丁寧に行なうか。それは技術指導は「選手の納得感」が大事だと思うからです。「押し付けられること」と「納得したこと」はその後の取り組み姿勢が違います。この「納得感」を無視すると、だいたい④だけの指導になってしまいます。

私はこの①〜⑤まで説明できなければ「理論」とは言えないと思いますし、④だけを選手に押し付けて「野球を教えている」という気分に浸っている指導者を見ると悲しくなります。「そんな簡単なものじゃないよ。。。」と。

①〜⑤までを丁寧に指導すること。指導に応えようと努力する選手のことを思えば、それくらいの手間は苦ではありません。

※Facebookページ「少年野球指導者のひとり言」より転載。


著者:廣川 寿(ひろかわ ひさし)
愛媛県出身。松山北高校時代に投手として選抜高校野球(春の甲子園)に出場。甲南大学時代は投手として阪神大学野球連盟の数々の記録を塗り替える。社会人野球まで投手として活躍。自身の息子が少年野球チームに入部したことをきっかけに学童野球のコーチとなる。現在は上場企業の管理職として働く傍ら、横浜港北ボーイズのコーチとして「神奈川NO.1投手の育成」を目標に掲げ、中学生の指導に情熱を注ぐ。


  


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