1946年に創立された東海大甲府高校。野球部は58年に創部され、部員数は116人(3年生46人、2年生27人、1年生39人、マネージャー4人)。甲子園には春5度、夏13度出場している強豪校だ。
今年の夏も甲子園に出場すべく練習に励む東海大甲府ナイン。選手権予選を1カ月後に控えた6月上旬にグランドを訪れると、部員全員が青々とした五厘刈りにしていたのだ。
「こっちはやれなんて一言も言ってないのに、気合い入れました!って、選手は言うんですよ。でも、薄気味悪いでしょ(笑)。校内の先生方には不評なんです」と、名将・村中監督は苦笑いを浮かべるも、部員全員が毎年恒例の行事にモチベーションをあげていく。
「毎年、春の関東大会までは夏につながるいい試合運びができればいいなくらいに考え、守備力、攻撃力、投手力を鍛えるようにしています。夏の甲子園の山梨大会を見据えた今は、その方針をガラリと変え、2人のピッチャー、菊池&松葉を援護できる打撃を強化することに重点を置いています」
そんななか、目に見えて変わってくることがあるという。それは、春の大会ではベンチ入りしていなかった選手が一気に実力をつけ、台頭してくるということだ。
「3年生は47名いるのですが、そのうちベンチ入りできるのは半数以下。しかもレギュラーの座もほぼ決まっている中、がむしゃらに取り組む頑張り屋が大好きなんです。決して見逃さず、サプライズとしてベンチ入りさせるんです」
夏の大会の目標はもちろん『全国制覇』。昨年の甲子園大会では、ベスト16で早稲田実業に敗れてしまったので、それ以上の成績をおさめるのは当然のことだと、村中監督は言う。
最後に、菊池、松葉、どちらをエースに据えるのか聞いてみた。
「僕の中では決めていますよ。彼に背番号1を与えればモチベーションが上がるだろうな、彼だったら2ケタでもしっかり投げてくれるだろうな、と。2人の実力に大差はないので、背番号1はあくまでも心理的なものとして考えています」
7月10日から始まる山梨大会。どちらの投手が背番号1をつけてマウンドにあがるのか、それも東海大甲府高校の試合を見る楽しみのひとつになった。