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【少年野球指導者のひとり言】チームワークの意味

2016.6.17
 先日、練習試合があり、私は下級生中心のチームで指揮を執らせて頂く機会がありました。そこでちょっと面白い場面がありました。

 2点を追う最終回、先頭打者が2塁打で出塁、次の打者は小柄な1年生の左打者。彼は前の打席で見事にスクイズを決めていました。私は彼が打席に立つ前に呼び寄せて「打ちたい?」と聞くと、彼はビックリしたような表情を浮かべ、その後に「どっちでもいいです」と言いました。

 私は「何だよ、今日最後の打席だぞ。『打ちたい』って言えよ。わかった。さっきちゃんとスクイズ決めたご褒美だ。打たせてやる。その代わり、何としても一塁側に引っ張れ!」と言って送り出しました。結局彼は2ストライクまで粘った後、一塁ゴロで凡退したものの、走者を3塁に進めました。ベンチに帰ってきた彼と「よくやった」と握手しました。

 そして昨日の練習。1アウト2塁の想定で、私が打撃投手を務めてケースバッティングの練習をしました。ところが上級生も含めて打球はサードゴロのヤマ。左打者まで流す始末。。。たまりかねて全員を集めてお説教してしまいました。

「このケースでは確率高く2塁走者を進塁させることが『チームワーク』だ。この中に右方向に打とうと努力したヤツは何人居る?どん詰まりでも右に打とうとする姿勢は、必ず仲間に伝わるし、その想いで仲間同士が繋がってこそ『チームワーク』。『チームワーク』とは仲良くすることではなく、『チームのために働くこと』だ。」

 反省したのか、その後は選手たちも「右に打て〜!」と声をかけながら練習に励んでいました。本音を言うと、杓子定規に右に打たなくてもいいと思います。一人くらい3塁側にセフティーバントを試みる選手が居ても良いかなぁ〜、とも思いました。大切なことは「確率高く2塁走者を進塁させること」です。目的をしっかり見据え、手段を柔軟に発想できる選手になって欲しいと思いました。

 これからも実戦練習を多く取り入れて、もっと頭に汗をかいてもらいたいと思いました。

※Facebookページ「少年野球指導者のひとり言」より転載。


著者:廣川 寿(ひろかわ ひさし)
愛媛県出身。松山北高校時代に投手として選抜高校野球(春の甲子園)に出場。甲南大学時代は投手として阪神大学野球連盟の数々の記録を塗り替える。社会人野球まで投手として活躍。自身の息子が少年野球チームに入部したことをきっかけに学童野球のコーチとなる。現在は上場企業の管理職として働く傍ら、横浜港北ボーイズのコーチとして「神奈川NO.1投手の育成」を目標に掲げ、中学生の指導に情熱を注ぐ。


  


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