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【少年野球指導者のひとり言】プロセス←→結果

2016.5.3
先日、ある投手を指導していた時のことです。その投手は制球力に課題があり、制球が悪い原因も明確でした。以前にも何度か本人に対して「制球が悪い原因」と「克服のための留意点」について指導してきました。しかし、その投手は指導したことを忘れ、以前と同じように漠然とキャッチボールをしていました。

私も投手だったので経験があるのですが、投球フォームを直す時って、最初は思うように結果が出ずストレスが溜まります。ただ「直す」ということは現状に何か問題があるか、若しくは現状よりも良い結果を求めて「直す」のです。そのストレスに耐えられなければ「元の木阿弥」となります。

私は彼に対して以下のように告げました。
「この間俺が言ったこと覚えてる?やりたくなかったらやらなくてもいい。ただ今のままでは制球力が向上する確率は極めて低い。自分で責任を持って『このやり方で結果をだしてやる』というのであれば俺は何も言わない。自分で決めなさい。」

頭ごなしに「俺の言う通りにしろ!」ということも可能ですが、そもそもそういう言い方をするのがあまり好きでないのと、能動的に取り組む姿勢が形成されなければ、何に対しても強制されるまでやらない人になってしまうので敢えて突き放しました。

「結果が出ていないプロセス」に対して疑いを持ち、結果を出すために常にプロセスを見直す姿勢は成長していくために必要です。結果が出ていても「たまたま出ただけじゃないか?」と時には自分のプロセスを疑うことも必要です。

「プロセスのない結果」は持続的な成功には繋がりません。「結果」だけでなく、「プロセス」だけでもない。両方を視野に入れ、その因果関係を捉えてこそ、指導の質が高まると思います。

※Facebookページ「少年野球指導者のひとり言」より転載。


著者:廣川 寿(ひろかわ ひさし)
愛媛県出身。松山北高校時代に投手として選抜高校野球(春の甲子園)に出場。甲南大学時代は投手として阪神大学野球連盟の数々の記録を塗り替える。社会人野球まで投手として活躍。自身の息子が少年野球チームに入部したことをきっかけに学童野球のコーチとなる。現在は上場企業の管理職として働く傍ら、横浜港北ボーイズのコーチとして「神奈川NO.1投手の育成」を目標に掲げ、中学生の指導に情熱を注ぐ。


  


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