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【少年野球指導者のひとり言】時には黙々と・・・

2016.4.22
野球の練習ではほぼすべてのチームがキャッチボールを行ないます。その後の練習メニューに備えたウォーミングアップの意味合いが強いのですが、このキャッチボールを見ていると選手のメンタル面での特徴がよく分かります。着眼点は「捕球や投球のテンポ」です。

小学生であれば捕球してから投球動作に入るまでの間に「おしゃべり」をしたり、中学生になるとこっそり変化球を混ぜて投げたりすることで頻繁にキャッチボールのテンポを変える選手がいます。こういう選手は「緊迫した場面で極度に緊張する」傾向があります。

私は心理学の専門家ではないのであくまでも私見ですが、おしゃべりなどで頻繁にキャッチボールのテンポを変える選手は、反復練習のストレスや集中することから逃れようとしているように見えます。

時折意図的に緊張を解くことも大事です。しかし試合では「解きたくても緊張を解いてはいけない場面」があります。ストレスに対峙して緊張を持続させることを求められる場面では、その緊迫感から逃げてはいけないのです。その緊迫感に耐えられない選手はイージーミスを犯すなど、緊張に耐えかねて力を発揮できないケースが多いと考えられます。

「集中しろ!」と叱っても効果はありません。むしろ指導者が叱責すると選手はより指導者の眼を盗んで「逃げ道」を探そうとします。ではどうすれば良いか?

私の今までの経験で一番効果的だったのは「自分がキャッチボールの相手をする」です。普段は集中しない選手も、キャッチボールの相手が監督やコーチの時にはほぼ100%の確率でテンポアップします。叱る前に、時々は「今日は俺とキャッチボールしよう」と声をかけてみてください。きっと黙々とキャッチボールの相手をするだけで、選手の集中力は高まると思います。

※Facebookページ「少年野球指導者のひとり言」より転載。


著者:廣川 寿(ひろかわ ひさし)
愛媛県出身。松山北高校時代に投手として選抜高校野球(春の甲子園)に出場。甲南大学時代は投手として阪神大学野球連盟の数々の記録を塗り替える。社会人野球まで投手として活躍。自身の息子が少年野球チームに入部したことをきっかけに学童野球のコーチとなる。現在は上場企業の管理職として働く傍ら、横浜港北ボーイズのコーチとして「神奈川NO.1投手の育成」を目標に掲げ、中学生の指導に情熱を注ぐ。


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