そのための「実感の持たせ方」には”コツ”があります。
暖かくなると試合を意識した練習が増えてくると思いますが、できるだけ難易度の低いメニューから取り組むことが効果的です。例えば打撃練習は甘いコースで比較的緩めの球を打つことから始め、守備練習も緩いゴロから始めると、筋力や脚力の向上を実感しやすいです。
一方でいきなり難しいものに取り組むとすぐには成果が出ないため、体力や基礎技術の向上が実感しにくくなります。
「簡単なメニュー」を実施すると別の側面もあります。それは「冬練を頑張った人」「サボった人」の差が出やすいのも簡単なプレーを行なった時です。例えば難しい球はみんな打てませんが、簡単な球は練習した人ほど確率高くヒットできます。
これは学習も同じですね。「難しい問題」は解ける人が少なくなるので、「出来る子」と「出来ない子」の差がつきにくく、「簡単な問題」ほど「確実に解ける子」と「とりこぼしをする子」の差が出ます。
体力強化で「劇的に技術力が向上する」ということはほとんどありません。「当たり前のプレー」の精度が上がるという側面の方が強いと思います。でも野球の試合はそのほとんどが「できて当たり前」のプレーで構成されていることを忘れてはいけないと思います。
※Facebookページ「少年野球指導者のひとり言」より転載。
著者:廣川 寿(ひろかわ ひさし)
愛媛県出身。松山北高校時代に投手として選抜高校野球(春の甲子園)に出場。甲南大学時代は投手として阪神大学野球連盟の数々の記録を塗り替える。社会人野球まで投手として活躍。自身の息子が少年野球チームに入部したことをきっかけに学童野球のコーチとなる。現在は上場企業の管理職として働く傍ら、横浜港北ボーイズのコーチとして「神奈川NO.1投手の育成」を目標に掲げ、中学生の指導に情熱を注ぐ。