マスターズは自分の母校に戻り、母校野球部OB会チームに参加します。中には同級生や一緒にプレーした先輩、後輩など現役時代を良く知っている選手も居ます。そこでプレーしていると指導者としての気付きがあります。
そのチームで主力選手として活躍する私の同級生が居ます。守備では内外野をこなすユーティリティプレイヤーとして、打撃では長打はないもののしぶとい打撃でチャンスに強い選手です。とても貴重な戦力である彼、高校時代は控え選手です。確かに高校時代の彼は、打撃に課題があってレギュラーには届かない存在でした。しかし、長い時間を経てマスターズでレギュラーに手が届いたと言っても良いと思います。そう思えば「たまたま学生時代に追いつかなかっただけ」なんだと思います。
彼は私に言いました。「レギュラーだったお前たちと違って、俺は控えだった。『もっとやれたんじゃないか?』と悔いも残っている。だからマスターズで思い切りやりたい。」
私は、彼の場合約20年かけて仲間に追いつき、追い越してレギュラー相当のポジションを掴んだのだと思います。素晴らしい姿勢だと思います。同級生として頭が下がります。そんな彼は今年、OB会幹部に選出されました。みんな彼を認めたのだと思います。
子どもの世界でも、選手の成長には±1~2年くらいの個人差があるように思います。仮に小学生の時に同級生に劣っていたって何も悲観することはないと思います。どこで追いつくか、なんてやってみなければ分かりません。
私もたくさんの子どもをお預かりする指導者です。中には同級生と比較すると技量が劣る子も居ます。しかし「いつか必ず追いつき追い越せる日が来る」ということを信じて、彼らの成長をサポートしていきたいと思います。
※Facebookページ「少年野球指導者のひとり言」より転載。
著者:廣川 寿(ひろかわ ひさし)
愛媛県出身。松山北高校時代に投手として選抜高校野球(春の甲子園)に出場。甲南大学時代は投手として阪神大学野球連盟の数々の記録を塗り替える。社会人野球まで投手として活躍。自身の息子が少年野球チームに入部したことをきっかけに学童野球のコーチとなる。現在は上場企業の管理職として働く傍ら、横浜港北ボーイズのコーチとして「神奈川NO.1投手の育成」を目標に掲げ、中学生の指導に情熱を注ぐ。